水無月の夢
□6月12日
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「んー…あれと、これと、あと…」
明日のお出かけに向けて、持っていくものを支度していく。
あ、おくるみも…
箪笥から取り出して風呂敷の上に乗せた。
んー…やっぱり、念の為にもっとおむつ持って行ったほうがいいかなぁ…
足りなくなったら困るし…
お宮参りで一度お出掛けしているとはいえ、あのときより長時間出先にいることになると思うと不安で仕方が無い。
そうだ、おもちゃも少し持って行ったほうが良いわよね…
明日、行く前に猩影のお気に入りのがらがらも風呂敷に包まないと。
いろいろなことを一気に考えているため、頭の中がごちゃごちゃしてきて、大きな溜息を吐いた。
…ちょっと、休憩しよう…
はぁー…と再び息を吐いたところで、狒々様が部屋に入ってくる。
「む、姫、休憩中かァ?」
「あ、狒々様…何だか、こんがらがってしまって…」
狒々様はお盆を持って、にかッと笑った。
「ちょうど、休憩を勧めようと茶を持ってきたところじゃ」
「そうだったんですか!ありがとうございます!」
狒々様は荷物を避けながら私の正面に座って、お茶とお饅頭を手渡してくださる。
「まぁ、これでも飲んで落ち着けぇ」
「ありがとうございます」
お茶を受け取って啜ると本当にホッとして、ゆっくり息を吐いた。
「落ち着いたかァ?」
「はい!」
「じゃあ饅頭食って、荷物纏めちまうぞぉ!儂も手伝うからのぅ!」
「手伝ってくださるんですか?」
「当たり前じゃ!姫だけにやらせるのは駄目じゃろぉ!」
にっと笑った狒々様を見ると気持ちが落ち着いて、やっと荷物がまとまるんじゃないかと思えてくる。
休憩後、狒々様と荷物を纏めていると何だかすごく心強くて、あっという間に支度出来て驚いた。
→つぶやき。