水無月の夢

□6月19日
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今日は、朝から狒々組の有志が集まって梅を漬けている。

どうしても梅を漬けたいと頼み込んできた姫に根負けして、今日は猩影
のおもりを任されていた。

「ふにゃー!ふにゃー!」

「おぉおぉ猩影、母さんがいなくて寂しいのかァ?」

「ふぎゃー!!」

なかなか泣き止まない猩影
に困り果てて、仕方が無い、と立ち上がる。

「よし猩影、母さんに会いに行くかァ!」

「ふぇ?」

そう言うと猩影があっという間に泣き止んで、もう言葉がわかっているのでは…と期待が膨らんだ。

のそのそと部屋を出て、のんびり台所に向かう。

「姫ー」

台所ののれんを潜ると、皆梅と格闘していた。

「あら、狒々様、猩影…何かありましたか?」

その中で、姫がひょいと顔をあげる。

パタパタと姫が近付いてくると、猩影がきゃっきゃと笑い出した。

「猩影が、母さんがいねぇと寂しいらしいんじゃ…」

「あら、猩影ったら…嬉しいこと言ってくれるのね」

猩影を姫に手渡すと、猩影は今日一番の笑顔になる。

複雑な気持ちを抱えながら、暫くしてから再び猩影を連れて部屋に戻った。





→つぶやき。
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