水無月の夢

□6月25日
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痛む腰をおさえながら、猩影
を抱いて縁側に座り込む。

空を見上げると細かい雨がさらさらと降っていて、ふっと息を吐いた。

「猩影、今日も雨ねぇ…」

優しく頭を撫でながら、呟くように言う。

じとっとした空気が肌にまとわりつく感覚に、思わず梅雨なんだなぁ、なんて頭を過ぎった。

「そうだ、少し廊下をお散歩しましょうか?」

座ったばかりだというのに、猩影
を抱き直して立ち上がる。

お寝坊している狒々様を起こさないように、そっと部屋から抜け出した。

「あら、猩影、カタツムリがいるわよ!」

偶然迷い込んだらしいカタツムリを見て、しゃがみ込む。

「猩影、カタツムリさんよー見えるかしら?」

「奥様?大丈夫ですか?」

そのまま猩影に話し掛けていると、瑠衣さんが心配そうな顔で話し掛けてきた。

「あっ瑠衣さん!お疲れ様です!」

顔を上げてそう言うと、瑠衣さんの表情があからさまにホッとする。

「しゃがみ込んでいるから、体調が悪いのかと焦りました…」

「あっ、すいません!猩影
とカタツムリを見ていました…」

慌てて元気なことをアピールすると、瑠衣さんがくすっと笑った。

「あ、本当だ…こんなところにまで迷い込んだのか…」

瑠衣さんの綺麗な手がひょい、とそれをつまみ上げ、猩影
の目の前にかざす。

「猩影もすぐに虫なんか捕まえて遊ぶようになるんでしょうね」

「そうですねぇ…きっと、あっという間にそうなるんでしょうね」

興味しんしん、といった様子でじっとカタツムリを見つめる猩影
を見ながら、思わず笑みが零れた。






→おまけ&つぶやき。
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