水無月の夢
□6月14日
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「あれー?この前より重くなってる!」
馬頭ちゃんが目をキラキラさせながら、猩影を抱く。
「頭も、前はこんなに小さかったのに…」
牛頭くんも猩影を覗き込んで、少し頬を染めて呟いた。
「でしょう?まだ、これからどんどん大きくなっていくのよ」
実は子供をあやし慣れている2人に猩影を預けている間に、お茶を入れる。
用意してきた羊羹と一緒に2人の前に出すと、2人の視線の先が猩影から羊羹に一瞬で移った。
「これ、食べていいの?」
「もちろん!」
「わぁい!いただきます!」
「いただきます!」
馬頭ちゃんから猩影を受け取ると、猩影は気持ち良さそうにすやすやと眠っている。
そのままゆっくり布団に寝かせて、自分も牛頭くんと馬頭ちゃんの輪に加わった。
「姫さんが母さまなんて、猩影は幸せ者だよねー」
「あぁ…そうだな」
ちょうどそんな話をしている時に加わってしまい、恥ずかしくなる。
「あっ!姫さん真っ赤だよ?どうしたの?」
「なっ、何でもない!何でもないのよ!」
ぶんぶんと首を振って誤魔化し、お茶を啜った。
「羊羹おいしーねー」
「………」
「本当、美味しいわね!」
なんてことない談笑をしながら、久しぶりに牛頭くんと馬頭ちゃんとゆっくりしてるなぁ…とぼんやり思う。
猩影もこの2人のように良い子に育つといいな、なんて思いながら、羊羹を口に運んだ。
→つぶやき。