BOOK!!


□素直。
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『折原先輩、ちょっと私行くところがあるので先に帰っておいて下さいね。』




臨「え、そうなの?分かったよ」




ありがとございます、じゃあ。
そう言ってぺこりと頭を下げて教室を出て廊下を走っていった。そんなに急ぎの用事なのか窓の外を見るともう校庭の真ん中を門に向かっていた。


●●と俺は付き合いはじめてあまり日は経っていないが付き合うまでも俺は●●にかなり絡みにいってたからそれなりに仲は良い…つもり。


実際語尾に"つもり。"とつけたのには理由があって、


まず●●は俺よりも一つ学年が下で少し控えめなところが彼女にあること。

二つ目に俺と●●が付き合っていることを誰にも言っていないこと。俺は言っても構わない、むしろ言ってほしいくらいだ。
だけど●●は折原先輩のことが好きな人に何か申し訳ない、と言って口外しようとしない。あんなのただの取り巻きで暇つぶしなのに、




臨「一人って暇だな…、」




今まで一人でいた俺の中で●●は大きな割合を占めていた。あぁ、俺は●●がいないとだめなんだ。●●に依存してるんだ、とつくづく感じる。

けれどそれを悪く感じないのは本当に●●のことが好きだからで。





臨「●●戻ってこないかな…」




無意識につぶやいた言葉が放課後の教室でやけに大きく聞こえた。
さっき別れたばかりなのに寂しいという思いが感じられるのは俺がかなり重症だていうことを表しているのだろう。




臨「好きだなあ、本当に」




つぶやくと同時にガララと教室の前のドアが開く音が聞こえた。




臨「あぁ、なんだ…ドタチンか」




京「俺で悪かったな、」




臨「いやいや、ドタチン忘れ物?」




俺が聞くとドタチンは俺の顔をじっと見た。何か顔についてる?そう問うとドタチンはいや…と少し気まずそうな顔をした。




京「あー。臨也の…あぁ、●●ちゃんだったか。」




臨「●●?」




まさかドタチンから●●の名前が出るかとは思わなくて少し驚いた。




京「男もんの自転車停めてたんだよ、それで店ん中入ってって。多分誰か追いかけて、」




ドタチンが言いにくそうにしてたのはこういうことか。




京「あーでも、ぱっと見ただけだからな。本人かどうかは…」



臨「どこ?」




京「は?」




臨「●●の入った店どこ?」




京「ほんと見間違えかもしれねぇぞ。だからそんなに気にすん…」




臨「どこ。」





京「…駅前に出来た新しいカフェ」




気まずそうに首の後ろに手をやり、そっぽを向いて言った。




臨「ふーん、そう。あ、たしか今日は駅前で用事があるんだった。」




京「…」




臨「別に追いかけるんじゃないから、ほんっとに用事があるんだ。そろそろ行かないと。じゃあねドタチン」




京「あぁ。あいつほんとに、」





♀♂





『あ、静雄先輩。待ちました?』




静「いや、大丈夫だ。あぁ、乗るか?後ろ、」




『え!いいんですか?じゃあお言葉に甘えて、』




静「おう、ちゃんとつかまっとけよ。」




『はーい、』





♀♂





あぁ、最悪。
自転車誰のでもいいから乗ってくれば良かった。

本当のことを言うと、まあ言うまでもないけど実際●●を追いかけてきた。確かに●●今日は詳しいこと言わないで帰ったし今よく考えればおかしかったかも。いや、でも●●に限って…ない。ないない、絶対ない。付き合って二週間で浮気、…ないないないない。




臨「っ…●●、」





♀♂





『あ、静雄先輩ここ自転車とめれますよ。私とめておくんで先に中入ってて下さい!』




静「悪ぃな、」




『いえ!』





♀♂





臨「…はぁ、やっと着いた。」




カラン、開けたドアが音を立てて店員が寄ってくる。




店「何名様でしょう、」




臨「待ち合わせで、」




店内をぐるりと見渡すと一番奥の席に座ってる●●と…え、なんでシズちゃん?




臨「●●!」





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