BOOK!!


□5/19 狩るの?借られるの?
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『しーずおくん!おはよ!今日もうなじに顔を埋めたいくらいステキだね!むしろ静雄くんのうなじになりたいよ!』

静「あ、先輩。おはようございます」

『華麗にスルー!そんなとこもステキっ!』

静「ところで先輩今日何出るんですか?」

『ん、私?私は女子の騎馬戦だよ!もうさ、皆"こわい〜っ"とか言いながらガチで足引っ掛けてくるんだよね。戦場と化すよ、あそこは。』

静「…怪我しないでくださいね」

『うん!ありがと!静雄くんは何やるの?』

静「あー、俺は借り物競争です」

『それは狩られたい!頑張ってね!』

静「うす、」


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<では、プログラム7番借り物競争を始めます。参加者は指定の場所に集まってください。>


実際面倒くさい。
スタート地点から走って30m先の封筒を開け、そこに書かれている指示通りに何かを借りてきてゴールする。簡単なものだし、となめていたが先程耳にした話だと毎年指示内容
によって確実に痛い目を見るということらしい。こんなことなら新羅にやらせればよかった。

<第三組 スタートです。>

とりあえず変なやつに当たらねえように気をつけたいところだ。


静「………………んだこれ」

足には自信があるため封筒には一番乗りで着き、中身を見たが足の速さは関係なく、加えて足の速さと運の良さは比例しない。

≪自分のペットだと思う人を連れてきてください。≫

そんなやついねえよ。

自分で言うのもあれだが、友達が少ない方であることは確かだし。その中でペットを選べと言われても。友達と言えば新羅あたりが妥当だが、生憎あいつは保健係に借り出されているらしく姿が見えない。
くっそ面倒くせえ。


「うわ、俺"好きな人"だ!」
「は?おれの"カツラ"よりマシだろ」
「えー、誰連れてこようか」


他の走者の話も聞こえるが、どれも当たりはないらしい。くっそ、


「お前あの人は?」
「は、誰?」
「ほら、先輩のこと可愛いって言ってただろ!」

「あ、●●先輩!」



●●先輩。
きっと俺の知ってる●●先輩のことだ。
先輩はやはり人気らしい。
先輩のことを可愛いと言ったやつはもう周りを見渡してその姿を探している。
そうか、あいつは先輩を連れて行くつもりなのか。先輩はどんな顔をするのだろうか、"好きな人"として選ばれて喜ぶのだろうか、もしかしてOKの返事を返すのだろうか。
そうしたらもう俺のところに来るところもないのだろうか。


『あ!しずおくーん!!!』


人混みの中からひょっと先輩の顔が
出てきた。席を外していたらしい。どうりで見つからなかったわけだ。俺に向かってぶんぶんと手を大きく振っている。まだあいつは気付いていない。

ああ早く行かなければ、
隣のやつよりも先にーーー


静「っ先輩!」

『お!もしかして私のこと狩りにきたの?!やだー!静雄くん積極て、』

静「はい。借りにきました、だからきてください」

『えっ、まじ?!うれし…って静雄くん足速っ!!!足もつれる!これるよ!静雄くん!!』


先輩の同級生と思われる人達の冷やかしの声に堪えられず手をとって走り出した。先程先輩の名前を出していた参加者をちらりとみれば驚いたような顔をしている。あいつより足が速くて良かった。少しホッとして…


『わ、残念!二番だったねー。あ、見て!あの人カツラ持ってる!!ほら!教頭なんかめっちゃ怒ってるよ…!』

静「なんでカツラなんか持ってんすかね。」

『え、だってお題がカツラだからじゃない??』

静「………あ、」


お題。
そうだ、これ借り物競争だ。
持ってきたいものを持ってくる種目ではなかった。
しかも、俺が引き当てたお題は先輩に聞かれてというか、世間的にあまり良いものではない。
すっかり忘れてただ連れてきてしまった。


『そういえば静雄くんのお題なんだったの?』

静「え、っと。あー忘れました。あれ、そういえば封筒は…」

『あ、係りの人が回収したよ。放送するんだってー。』

静「は?!」


《第二レーン山田君のお題は、"カツラ"です!借りてきたのは教頭のカツラだそうです》


死んだ。
世間的に死んだ。
"ペットにしたい"とかただの変態じゃねえか。


《第三レーン平和島君のお題は、えっ、あ…"ペットにしたい人"です!借りてきたのは二年の▲▲●●さんです!》

『え…っ』


死にたい。
穴があったら入りたい。
むしろ埋まりたい。
埋めてくれ。


『…………』

静「………」

『……………』

静「………………あの、」


先輩はぼーっとしたまま一点を見つめたまま動かないでいる。
しずおくんの変態!とか気持ち悪い!とか言われるんだろうか。
もしかしたら
嫌いと言われるのか、

煙たがられたり、避けられたりすることには少し慣れたけど、でも、やっぱり、
考えたら喉の奥がひゅっと鳴った。



『…………ぅ』

静「えっ」

『妊娠しそう』

静「…は、………は?!」

『斬新なアイディアすぎて絶句した!ずっと静雄くんの隣を狙ってたけど足元にひれ伏すのも断然あり!てかペット!!!!!!静雄くん私をペットにしたかったの?!』

静「いや、すいません。そういう訳じゃないんですけど、気づいたら手取ってて…」

『無自覚というやつ!!!ステキ!!!すき!!!忠実なペットになります!!!!!!』

静「はあ……」


三回まわってきます!
(気付いたら鼻血が!)




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