*P3P長編(キタ&ハム兄妹編)*
□2009.7〜8
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影時間
白河通り
ホテル・シャン・ド・フルール
一室
……頭がぼんやりする。
誰かシャワーを浴びているようだ。
…何か大切な事を忘れている気がする。
大切な事…なんだっただろうか。
制服のリボンタイを外す。
じゃないとシャツが脱げない。
これからシャツを脱いで……
……?
…なんで脱ぐんだ?
「…っ…」
頭の中に声が響く。
──享楽せよ。
いや、違う。
ダメだ…
………
…………
意識がはっきりしてきた。
シャワーの音が止む。
誰か出てくると思い身構えていると、ゆかりがバスタオル1枚で出てきた。
「…ゆかり?」
「ん……有里…君…?」
「大丈夫?」
「あれ…私、何して…って、イヤァアア!!」
なぜか叩かれた。
「…痛い」
再びバスルームへ消えたゆかりも正気を乱されていたようだ。
精神攻撃のせいで風花と通信が出来なくなっていたらしい。
他のみんなも…と言うことか。
…順平と先輩は大丈夫だろうか。
考えていると着替えてきたゆかりが出てきた。
「誰にも言わないでよ?」
「わかってる。とにかくみんなと合流しよう」
「…わかった」
「あ」
「何よ」
「ごちそうさま」
一応礼儀の一つとして言ってみたが、顔を赤くしたゆかりに弓の端で背中を突かれた。
「痛い」
「もう!ほら、早く行くよ!」
2階に上がると順平と真田先輩が待っていた。
「もう1体いるなんて聞いてねぇぞ…。お、お前ら大丈夫だったか?」
「まあ。…そっちは?」
「俺はその、新しい扉が開きかけたっつーか…」
「そっそんなこと言ってる場合か!!とにかくさっさともう1体も倒しに行くぞ!」
「………」
「な、なんだその目は」
「いえ…別に」
まさかの展開があったようだ。
「こんのー!乙女の純情をよくもーー!」
ゆかりはヤケクソだ!
「お前だけは許さん!!」
真田もヤケクソだ!
今回も苦戦したが、なんとか大型シャドウを倒す事ができた。