*P3P長編(キタ&ハム兄妹編)*
□2009.7〜8
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帰り道
ホテルの外で待機メンバーと合流した。
「お前、今回も活躍してたな」
「たまたまだ」
「偶然じゃねぇって事くらいわかってんだろ?」
「順平、なに突っかかってんの?あ…もしかして悔しいとか?」
「そんなんじゃねぇよ!」
順平は不機嫌そうな様子で一人足早に行ってしまった。
「あっ…順平!」
結衣が後を追い掛けて行く。
今は僕が追い掛けていかない方が良さそうだ。
「順平くん…どうしたんだろう」
「さあね。さっ…私達も帰ろ!」
「…そうだな」
結衣は心配だが順平が一緒ならどりあえず大丈夫だろう。
ゆかりと風花と一緒に寮に帰ることにした。
***
同時刻
帰り道
「…順平!待って!」
「んだよ…ほっといてくんねぇかな」
「ほっとけないよ」
並んで歩いてはいるけど順平が歩くのが速すぎて私は小走りになる。
「…結衣の兄貴が大活躍したんだ。鼻高々じゃねぇか」
「そんなこと…」
「なくはねぇだろ?…わかったら行けよ」
「もう!順平のばか!鼻高々なんて思ってないもん…怖いよ」
「は…怖い?」
大きな声を出したせいか、順平の歩くスピードが緩んだ。
「湊がどんどん遠くに行っちゃう…頑張ってるけど追いつけない……双子なのに!」
「結衣…」
「なのにいっつも守ろうとする。私を優先する。…私だって…同じ気持ちなのに…!同い年なのに子供扱いする!」
ここに来てから、戦うようになってから、ずっと思ってた。
溜め込んでいた気持ちを一気に吐き出したせいか涙が堪えきれない。
「わっ…な、泣くなって…えぇと、ハンカチハンカチ…あ、使用済みでいい?」
突然泣き出した私に順平はさっきまでの不機嫌がどっかに吹き飛んでしまったようにうろたえている。
いつもの順平に戻ったような安堵感も加わって…涙が止まらない。
「…じゅんぺー……っ…」
「ちょっ…!マジで泣くなって!ほーら結衣ちゃん笑ってーほらーねー」
順平は私が落ち着くまでオロオロしながらも声をかけてくれた。
影時間が明ける頃には涙はすっかり引いていた。
…泣いたせいかお腹が空いてきた。
「……ラーメン食べたい…」
「ラーメン?!って…女子がこの時間に食べちゃっていいのかよ」
「ラーメン!」
「だーっ!わかった、わかったから!」
順平とはがくれに寄ってから帰った。