*P3P長編(キタ&ハム兄妹編)*
□2009.7〜8
5ページ/18ページ
7月11日(土)
夜
巌戸台分寮
作戦室
幾月さんからの話の前に前回の大型シャドウ掃討作戦についての報告がされた。
そこから幾月さんの話に…と思ったが、ゆかりがここでハッキリさせたい事があるそうだ。
タルタロスや影時間について桐条先輩は本当は何か知っているんじゃないかと思っているようだ。
ゆかりが調べたところによると10年前の事故の後、不登校になった生徒達は不登校ではなく突然意識不明になったらしい。
これは6月に失踪した生徒達と症状が似ている。
ならば10年前の事故と生徒達の不登校は関係ある…つまり、10年前の事故とタルタロスや影時間は何かしらの関連性があるのではないか。と疑っているようだ。
何も知らずに戦い続けられない…ゆかりの言うことはわかる気がする。
「…わかった。すべて話そう」
桐条先輩の話した“すべて”……
10年前の爆発事故のきっかけはとある実験だったという。
桐条先輩の祖父はシャドウの力を利用しようとしてシャドウを集めて研究をすすめるために実験をしていた。
だが実験の失敗により爆発事故が起きた。
その実験場所が当時の月光館学園で生徒達への被害が出たそうだ。
影時間とタルタロスはその時に発生、今戦っている大型シャドウは事故の際に飛び散ったシャドウの集合体って話らしい。
「つまりそれって…何の関係もない私達で過去の後始末してるって事ですか?!」
「………」
桐条先輩としてはシャドウと戦うことはペルソナ使いにしかできない事を考え、確実に仲間になってほしくてこういった事情を含んだ説明をあえて避けたようだ。
「と言っても…その爆発事故の時に飛び散った12体のシャドウ全てを倒せば影時間もタルタロスも無くなるはずだよ」
「…それは本当ですか?!」
「そう。今日はそれを伝えようと思ってね…。まあ、どちらにせよ君達の戦いはシャドウから人を救う戦いでもある。それにタルタロスは謎が多い。もしかしたら…タルタロスの中にはまた違った“答え”が見えるかもしれないよ」
「答え…」
…答え、か。
とにかく……残るシャドウは…6体。
あと半分だ。
微妙な空気のまま会議は解散となった。
ぱらぱらと各自移動するなか、座ったまま俯いている結衣はなにやら思いつめた表情をしている。
「大丈夫か?」
「あ…ごめん。一度に色々聞いて…ちょっとびっくりしちゃって…なんか頭イタイや。…私、部屋戻ってるね」
結衣は立ち上がると足早に作戦室から出て行ってしまった。
***
1階ラウンジ
幾月さんに詳しく話を聞いて内容を整理しておくことにしたが、どうも順平がつっかかってくる。
ゆかり、順平…桐条先輩もだが、少し様子がおかしく見える。
風花や真田先輩は普通に見えたが…実際はどうなのだろう。
それに結衣…。
さっきだって話を聞いて驚いただけであんな表情をしていたわけではないはずだ。
人を守る戦いでもある…
残るシャドウは6体、あと半分だ。