*P3P長編(キタ&ハム兄妹編)*

□2009.7〜8
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7月18日(土)
放課後
教室


やっと試験から解放された。
屋久島が待っている。
とはいえ何の準備もしていない。


「どっか買い物行こっか!…ねぇ、湊も行くでしょ?」

「ああ」

「じゃ、私は部室に荷物取りに行ってくるね」


ゆかりが小走りで教室から出ていく。


「そうだっ…風花に声かけてくるね!」


続いて結衣も出て行って女子2人が居なくなり、順平と2人きりになった。
気まずそうに話しかけてきた順平に最近の態度やら言動の事を謝られた。
…晴れて仲直りだ。


「あとさ…余計なお世話だとは思うけど、あまり結衣ッチのこと過保護になりすぎるのはよくねーと思うからさ…たまには適度に距離おいてやれよ?」

「…そうだな、さじ加減を考えておく」

「シスコンだからな…湊は」


女子3人と合流し、玄関の所で真田先輩と一緒になった。
なんでも“新戦力”について話があるらしい。

…また新たなペルソナ使いが見つかったってことか……。

用事ができてしまった風花と別れて校門を出ると幾月さんが少年を連れていた。


「あれ、天田君じゃん」


結衣曰わく、神社で何回か会った事があるけど至って普通の子…とのことだ。

…いつの間に少年と知り合いに…。

夏休みの間だけ巌戸台分寮に転寮してくる事が決まっているそうだ。
もちろん事情云々ではなく、“見込みがあるから”というのが理由のひとつらしい。

つまり、彼が“新戦力”ということだ。


「真田先輩ですよね…?噂、初等科まで届いてます!ボクシング負け無しだって…。よろしくお願いします!」

「あ…ああ」


天田少年は真田先輩を尊敬してるようだ。
逆に真田先輩は…子どもが苦手なのだろうか?


***
ポロニアンモール


夏休みを目前に控えたポロニアンモールの店頭には水着や浮輪が並んでいる。


「結衣は水着って持ってるの?」

「うぅん。どんなのがいいのかな?」

「なになに?俺が選んであげよっか?」


順平は喧嘩なんてなかったんじゃないかって程いつも通りに戻っていた。
ならこちらもいつも通りにするまでだけど。


「………」

「ひっ!ちょ、そんな睨まなくてもいいだろ…」

「はぁ……。結衣、水着は私と一緒に買いに行こうね」

「うん!」

「えっ?!じゃ、今日なに買うんだよ?」

「えー…お菓子とか?」

「いくらまで?」

「湊、まさかの乗り気発言かよ…」

「300円だろ?」

「真田さーん…それじゃ小学生の遠足じゃないっすか…」

「言っておくがプロテインはお菓子に入らないからな」

「先輩、そこじゃないです」


久々に和やかな雰囲気の中、なぜかお菓子の買い出しをした。
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