*P3P短編集(ハム子)*
□ビデオシリーズA荒垣と美鶴
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2009/9/12
>1階のラウンジが写っている。
>ソファでは荒垣がひとりでくつろいでいるようだ。
>…誰か帰ってきたようだ。
「…今日も遅ぇな」
「あぁ、文化祭に修学旅行…二学期は行事が多いからな…」
>美鶴がソファに腰掛ける。
「ふぅ…ここに人が居ないのを珍しく思うなんてな。随分人が増えたものだ」
「あぁ…」
「ふふ…三人で活動していた頃が懐かしいな」
「…あの頃は大変だったけどな。アキはタルンダ、美鶴はマリンカリンばっかで回復役も居ねぇし…何度やられそうになったか」
「わ、私はマリンカリンばかりじゃないぞ…?それに明彦だって……いや、待てよ…そう言えばタルンダよく使うな…」
「……俺と行ったときも使ってたぞ。まあ、最近はたまに回復役もするみたいだけどな」
「なら…明彦も成長しているという事だな」
>美鶴は満足そうに笑っている。
「そういや…美鶴、飯は食ったのか?」
「いや、最近は遅いからな…夕食はあまり食べていない」
「ったく、どいつもこいつも不摂生だな。…ちょっと待ってろ」
>荒垣がキッチンの方へと歩いていった。
「……?シェフでも呼ぶのか?」
「…んなわけねぇだろ。作るんだよ。時間も遅ぇし…なんか軽い物にする」
「荒垣が…?…ブリリアント!荒垣もシェフだったんだな」
「…美鶴、お前…ブリなんとかって後輩達にも言ってんのか?」
「ん…何かまずいのか?」
「……いや…いい」
>会話が途切れて荒垣が調理する音が聞こえる。
>流れる沈黙を二人は気にしていないようだ。
「…出来たぞ」
「ああ、今行く」
>美鶴はソファから立ち上がり食堂へと消えていった。
「これを作ったのか?…すごいな」
「大したもんじゃねぇよ」
「そんなことはない。うん…シェフと変わりない程だ」
「…なぁ美鶴」
「ん…なんだ?」
「お前…そうやって笑っていろよ。お前は笑っている方がいい」
「なっ…い、いきなりどうした?」
「いきなりでもねぇよ。三人の時はあまり笑っていなかったからな…」
「……」
>再び沈黙が流れる。
「……荒垣」
「…あ?」
「その…ありがとう」
「気にすんな。ひとりで背負い過ぎなんだよ…お前は。もう少し頼ってもいんじゃねぇか?アキや後輩達…仲間をよ」
「そうだな…努力しよう」
「努力って…お前なぁ…」
>……。
>ビデオはここで終わっている。