短編
□飽きの空
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「ねぇ撫子、隣のクラスの青柳くんって格好いいよね。」
「あれ?こないだ言ってた人はどうなったの?」
「ん?今は青柳くんの時代だよ」
「亜紀ってさぁ……飽きっぽいよね」
友達の撫子から呆れた顔で言われた。
「よく言われる」
私は軽くそう答えた。
私は昔からそうだった。
好きな物がコロコロ変わる、
というか飽き症だ。
そんな私にも昔から好きな物くらいあるけど。
「あ!そうだ亜紀、今日一緒に男子テニス部の練習見に行こ!」
「今はテニス部って気分じゃないからな……」
「前、向日君のこと好きだったじゃん!」
「んー。でも今は青柳くんが……」
「新しい出会いがあるかもよ!嫌って言ってもつれてくから」
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「ねぇ亜紀見て!忍足君超カッコいい!!」
「あーうん、そうだね」
あーだこーだうるさい撫子に適当に返事を返し、テニスコートを眺めた。
……あれ向日君だ。
前、向日君に彼女がいるって噂があってから諦めちゃったんだよな。
あの噂は嘘だったみたいだけど。
でも、ずっと心のどこかで向日君のこと想ってた。
飽き症な私が飽きずに好きなもの。
それは、君。
-end-