短編
□本当のあなた
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今日もあの人を待つ。
この前あの人に貰ったミントガムを食べながら。
「悪い、遅れた!」
「あ、亮」
少し前から幼馴染の亮と付き合うことになった。
昔から大好きな人だ。
「んじゃ、帰るか」
「うん」
私達は氷帝学園の校門を出た。
まだうちの学校の生徒が周りにいる。
だから亮は校門を出てからすぐ手をつないでくれない。
手をつないでくれるのはうちの生徒が見えなくなってから。
亮は照れ屋だから、わかってる。
ふと私の手に亮の手が当たった。
亮が私の手を優しく握る。
「え」
私は驚きながら亮の顔を見た。
「別に驚くことじゃねーだろ」
「まぁ、そうだね」
亮はそっぽを向きながらそう言った。
いつもと少し違う姿に見えた気がした。
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