短編

□はっぴーばれんたいん
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部活が終わり自分のマネージャー業も終わって、部室の鍵を閉めに行こうと部室に向かう。

もうみんな着替え終わって帰ってしまっただろうか。

今日はバレンタインデーだからチョコを作ってきた。
それと一緒に私の気持ちを込めた手紙を添えて…。

部活が始まる前に渡してしまおうと思ったがなかなか勇気が出ず渡せなかった。
帰る前なら渡しやすいかと思ったけど自分の仕事が長引き遅くなってしまった。
今年もダメか…。

私は部活のドアをノックする。

「どーぞ。」

誰もいないと思っていたから少し驚いた。

部室に入ると荒北君が自分の自転車の整備をしていた。

「もうちょっとで終わるから待っ…アー、俺が鍵返してくるから帰ってもいいケド。」
「いいよ、待ってるから。」
「そォ?悪ィな。」

そう言ってまた手を動かし始める。
彼が残っていたとは。
ラッキーだ。

「新開君や東堂君は両手にチョコ抱えてたけど荒北君はどうでした?」
「…俺はそんなキャラじゃねーダロ。それに福ちゃんも俺と同じじゃねーの?」
「福富君、結構貰ってたよ。」
「マジかよ!」

彼の動きが一瞬止まった。

「じゃあそんな可哀想な荒北君には私からあげるよ。」

よし、ナチュラルに言えた。

「別に欲しい訳じゃネーヨ。」
「…あ、そっか…。」

私は箱を仕舞おうと鞄のチャックを開ける。

「それ、どーすんのヨ。」

彼は私の手にある箱を見る。

「自分で食べちゃおうかな。」
「…ならもらってやるヨ。欲しい訳じゃねーケド、貰わねー訳じゃねーカラ。」

そう言って彼は恥ずかしそうに手を出す。

「じゃあ、はい。…やっぱり私、先に帰るね。鍵お願い。」
「あァ、わかった。」

私は部室のドアの前に立ち、ドアを開ける前にこう言った。

「本命は義理の1000個分に当たるから少しはみんなと並べたんじゃない?」

-end-

2014/02/14
 

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