オルディナリオ

□きっかけは落とし物
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晴也は風紀委員の職務である見回りついでの散歩を人気のない校舎裏で行っていた。
山奥に建てられたこの学園は周りを緑に囲まれていて、それを利用し、各所に庭が作られている。
少し見つけづらい小道を行けば少し開けた所に小さな噴水とベンチが置かれた場所があった。
あまり人の来ないこの場所は時折、強姦現場として使われることがある。
今日はそんなこともなく、晴也は他の場所に向かおうとしたが、ベンチに何かが乗っているのに気づいて近づいた。
何かはケータイだった。
黒のシンプルな形の折りたたみ式のケータイだ。

「忘れ物か?」

晴也はケータイを手に取り、持ち主を特定するために中を見た。

「あ、クマ」

開いて見えた待ち受けには可愛らしいテディベアがいた。
柔らかそうな焦げ茶の生地に黒いボタンの瞳、口はどこか笑みを作っているように見え、首周りには蝶々結びのピンクのリボンが付けられていて可愛らしさを強調している。

「妹が持ってるのと同じシリーズだな」

小さく呟きながらメニュー画面を開いてみれば、そこにはハチミツが入った瓶を抱えたクマが並んでいた。

「クマが好きなのかな?」

首を傾げながら晴也はプロフィールを開いた。
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