裏TEXT

□痕
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人が苦しむ姿は出来れば見たくはない。誰だってそうだろう?中には変わったやつもいるけどね。
だけど何でだろうか。
ジン、お前が泣く顔を見るのは、俺、たまらなく好きなんだよね。


「ん…っう…あ……あっ」

内壁をえぐるように擦り上げてやれば、たまらないといった様子で声を上げ、腰を揺らす。
つい先刻、ジンの中に丁寧に塗りこんだローションが、中の温度と擦れる時の熱でトロトロに解けて隙間から溢れ出てくる。
ぷちゅりぐちゅりと音を立て、自分のモノが埋め込まれた場所にできる僅かな隙間から生まれる気泡が潰れる様は、見ているだけで達してしまいそうなほど淫靡なものだ。
ジンの体はしなやかで、与えた快楽を一欠けらとして逃すまいと吸収していく。
優しく、じっくり時間を掛けて抱いてやればやるほど、中で絡み付いてくる肉のうねりは倒錯的だ。

「ん、んっ…や…やぁっ」

最も奥まった場所まで己を埋め込んだ後一気に腰を引けば、自分の中から出て行ってしまうのを拒むかの様にジンは中の締め付けを強くし、腰を大きくしならせた。

「バ…バン君っ、も…もっと、もっと奥、突いてっ…んっ…」

今日は一段と素直に俺を求めてくる。俺も俺で、普段の何倍も丁寧にジンを抱いている。
普段から可愛くしてればいいものを、御祖父様のためなら何でもするようなこの同級生が従順な振りを見せるのは、ベットの中だけだ。
じっくり時間を掛けて慣らして、ジンの頭を優しく掻き抱きながら腰を動かす。

そんな状況に酔っているのもあるのだろう、ジンは素直に俺の首に腕を回し、腰を絡み付けて自分を求めてくる。
こうやって甘く抱いている事に、裏があるとも知らずに。

腰を引くたびに自身を埋め込んでいる穴の淵が捲れ、赤く熟れたジンの内壁が見える。

「バンく…っ、中、中に…出して…っ中、もぅっ…ちょ、だい」

はくはくと必死に息を吸い込み、呼吸もままならないような状態で、途切れ途切れに訴えてくるジンに優しく微笑み、汗に濡れて額に張り付いた前髪をそっと指で梳いてやり、俺は腰の動きを早めた。

ジンの膝裏に差し込んだ手を大きく広げて、膝がシーツに付きそうなほど抱え上げ、前立腺をゴリゴリと音がするほど激しく擦り上げる。

「あ!!あっ…んんぅっ…いっちゃ…い、っちゃう、…ぁっ…っ」

がくがくと揺れるほどジンの体を強く揺さぶり、ジンが絶頂を訴え、腰がベットから離れるほど大きく体を反らした。


瞬間。


俺は、イク寸前まで追い詰められて先端の穴はパクパクと開閉し、茂みまで蜜を垂らしたジンの性器の根本を強く握り、ピタリと体の動きを止めた。

「あ、う…な、なに…なんでっ…」

後一突きされれば欲望の熱を吐き出せていたというのに限界まで高められ、突き放されたジンは、
何が起こったのか理解が出来ていないのだろう。未だにビクビクと内股を痙攣させながら俺に涙目で問いかける。
俺はゆっくりと起き上がり、真っ赤に腫れ上がった
ジンの性器を握る手を離した。一度は限界まで昂ぶった性器だが、最後のトドメが無くなった今、このままの状態で達する事はできず、硬度を保ったままふるふると震えている。

「な、何で、こ…ここで止めるなんて、う、はぁっ…っ」

体の中、特に下半身を蠢く熱を放出する事ができず、未だ体が小刻みに震えるのを止められないまま完全に動きを止めてしまった俺を恨みがましく睨み付ける事しかできない。

小動物みたいに震えて、目元を真っ赤に染めて、涙いっぱい溜めた目で睨まれたって、煽ってるとしか相手は感じないだろうに、と、途中から全て他人事のように意識を遠くへやっていた俺はひとりごちた。

バンはジンの問いに答える事は無く、体は繋がったまま。ほんの僅か体を動かしただけでも、神経がむき出しになったかのようなジンの中は刺激を吸収し、全てが快楽に直結する。

「あ、う、やだ…っ、ちゃんと、いかせ…はぅぁっ」

体がビクビクと痙攣するのを留められないまま、ジンは相変わらず涙を含んだ目で俺を睨みつけるが、俺はそれでも他人事のように、大きく息を吸い込んだ。



ジンが普段どんな生活をしているかなんて、何も知らない。海道義光の孫だし実際何をしているか分かったもんじゃない。
イノベーターでも、一体何をどうやっているのか想像もつかない。海道ジンという人間を捕まえておく術が、見つからない。


だから、だからさ。

相変わらず浅い呼吸を繰り返すジンを冷めた目で見下ろしながら不意にジンに話しかけた。

「ジン、昨日は誰に抱かれたの?」

ヒク、とジンが一瞬呼吸を止めた事は、体がまだ繋がっているので直ぐに分かった。

「な…に、言ってるんだい…?僕はバン君だけだって、いつも…」

恐る恐るといった様子で顔を覆っていた両腕をはずし、冷めた目で見下ろす俺を見つめ返したが、余りの瞳の温度の低さに続く言葉は無かった。

「いつも?」

決して強くは無い口調で促してやっても、ジンは怯えた目で見返してくるだけだ。ここまであからさまに動揺されては、答えはもう聞かなくても分かる。
でも駄目だ。ちゃんと口で言わせて、分からせてやらなくてはならない。

「い、いつも…言ってる…バン君にしか、触らせたりしてな…い…」

一回で素直に吐いていれば何もしなかったのに、勉強は出来ても本当に、こういうとこバカだな、コイツ。

「そう、じゃあさ、この痕はなんなの?」

薄く笑んで、俺は爽やかに問いかけた。
そして、太ももの内側、普段では晒す事の無い、きわどいところにある痕をつっと指で指す。

「こんな所に、こんな痕残して…俺への挑戦状かな?」

「ちょっと、待ってっ、バン君……!」

もうジンが何を言っても聞き入れない事は決めていた。俺の空気が急変した事に気づいたジンは、体を起こそうとするが、それは許さず他の男に吸われた痣のある左足を担いだ。

「あ、あぅっ…ま、待っ…て…」

急に足を担がれた事で角度が変わり、ジンのいい場所を突いたのだろう、ビクリと体を引きつらせながらも、抗議しようとジンは必死になるが、そんなものはお構いなしで俺は取り出したライターを見つめる。

「ちょっとコレは見逃せないから俺が上書きするね、消えないようなヤツで」

「バンくっ……それは、洒落にならな…っ!!」

ようやく意図が飲み込めたのだろう、ジンは、流石にまずいと本気で暴れようとするが、遅かった。



「う、あっ…っああああああぁぁぁぁーーー!!!」



ジンの絶叫と共に、人の肉が焼ける匂いが満ちた。

「ぁ…ああ、あっう…ううっ」

俺が取り出したライターに火をつけて、セスの太ももの内側の足の付け根の辺り、他の男の痕の真上に押し当てたのだ。
人間の体の中でも、特に皮膚の薄い場所だ。痛みもその分強いのだろう、火を押し当てられた瞬間ジンは大きく仰け反り体を硬くした。

「あああ、あぁ…はぁっ、は、…うっ、う」

ジンはガタガタと体を震わせ、信じられないと大きく見開かれた紅い目からはぼろぼろ。と涙を溢れさせていた。腹筋はヒクヒクと痙攣し、全身から汗が噴出している。

「ひっあぁ、う、うぁ…」

大きく口を開き、息を吸おうとしているのだろうが、出来ないらしい。ひゅう、と変な音を立てながら辛うじて呼吸をしているような状態だ。

「い、たい…痛い、バンく…ひっ、う」

やっと言葉を発する事ができるようになると、子供みたいに泣きじゃくりながら訴えてくる。

「い…いたい…バン君、バンく…っ」

「痛いだけ?痛いのがいいんじゃないの?」

泣いて怯えるジンを気にも掛けず、俺はジンの性器の先端に触れる。
痛みに気をとられてジンは自分でも気づいていなかったが、ジンの性器はライターの火をあてられた瞬間
達してしっていたのだ。

「ちが…ちが…ひっ、うあっあ」

「火傷させられてイっちゃうなんて…よっぽど痛いのが好きなんだね」

性器の先端の穴に爪をねじ込めば、痛い、痛いと子供が嫌々をするように弱々しく首を振る。

「やめ…やめてっ、バン君…違、う、からっ」

「あ、言っとくけど、ジンに付いてる痕、一箇所だけじゃないからね」

言った途端、ジンは大きく目を見開き、体を起こせる体力はもう残っていないのだろう腕だけを弱々しく
俺に向かって伸ばし、ごめんなさい、ごめんなさいと泣き縋ってくる。

ふらふらと頼りなさげに伸ばされた手はどこにたどり着くでもなく、俺の屈服の証だった。

「ごめ…なさっ…も、もうしませんから、おね…が…、ゆるしてっ」

怯えきったジンの手を右手で優しく掴み、俺はそっと手の甲に優しく口づけを落とした。

するとジンは安堵するような、困惑するようなどっちともとれない表情を見せたが、後者の方が現実的には正解だ。

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