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□気づいてよ
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ねぇジン、ジンは俺のものだよね。他の誰でもない。俺だけのもの。ねぇ、そうだよね。
「ジン、」
「あ、バン君おはよう」
学校に着くとジンの周りには数人の友達がいた。荷物を置いて駆け寄る。俺のいない所で何の話しをしていたの?
「何の話をしてたの?」
「昼休みにバトルしようって、バン君もやるよね」
「…ああ」
俺が来るのが遅いからジンに変な虫がついた。明日からもっと早く、いや、ジンと一緒に行こう。これで朝は安心だ。
そして昼休みになる。体育館の裏でDキューブを展開させる。ジンと他のやつが戦うのを見て俺は無性にイライラする。なんでジンは俺以外を見て笑ってるんだよ。
「もう、チャイム鳴るし帰ろうぜ」
「ああ、そうだな」
教室に戻ってもなんだかイライラして、授業に集中できなかった。どうすればジンを周りの連中から護れる?
「起立、気をつけ、礼」
「ありがとうございましたー」
考えていると時間はすぐに経ってしまって、また、すぐに放課後になってしまった。
「ジン、帰−−…、」
「バン君、このあとみんなと遊びに行くんだ」
笑顔でそう告げられ、バン君も行く?と誘われた。また、他の奴らか。俺のものなのになんで。
「いい、じゃあまた明日」
強引にジンと別れると、俺はずんずんと歩いて家へ帰った。
そしてその翌日もその次もそのまた次もジンは他のやつと仲良くして。俺を怒らせたらどうなるか、一度、わからせてやらないといけないな。
「ジン、」
放課後、久しぶりに一緒に帰る。そして俺の家に近づいた時声をかけたのだ。
「バン君?…ねぇ、最近おかしいよ。何かあったの?」
わからないんだね。やっぱり俺の気持ちなんて知らないんじゃないか。
「………」
「怒ってるの?もしかして、僕が何かした?」
わからないのか?と低い声でつぶやく。ジンの動きが一瞬止まった。
「俺は!ジンが好きなんだよ」
「僕もだよ…?」
「じゃあなんで!?なんで俺以外に愛想振り撒いて笑ってんだよ!」
「バン君?何言って…」
「その上、あいつらがジンの事狙ってんのわからないのか!?簡単に太股とか頭とか顔とか触らせたりして。俺の恋人じゃないのかよッ!!」
手首を掴んで壁に押し付ける。ジンが痛いと呻くがやめてやらない。なんで俺の気持ちがわからないんだよ!
「そんな、つもりは…」
「つもりはなくっても、俺はいらついたんだけど」
「ごめん、ごめんね、バンく…っ」
「今更遅いんだよ」
ぐいっと腕を引っ張って家に連れ込む。今日から母さんは友達と旅行で家にいないし父さんは仕事で帰ってこない。
それこそ母さんは最初は行かないといっていたが、俺が説得して行ってもらった。もちろん今日のためだ。
「さ、ジン。俺だけのものになってよ」
「バンく、」
「文句あるの?」
「なんっ、むぐっ…ぅ」
タオルを噛ませて後ろで結ぶ。あ、そうだ。逃げ出さないように足枷もいるな。まぁ、それは後でいい。ジンこれはジンが俺の事だけを見ない罰なんだよ。慎んで受けないとね。
Fin.