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□ペンギンとバナナ
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「不動ー!」

あ、やっべ見つかった。鬼道ちゃんの怒声が聞こえた方に背を向け走り出した。どうせ捕まるとは思うけど。

フッと角を曲がろうとしたら誰かに衿元を掴まれた。誰だよ。こんな時に。

「っ離せ!誰だよ!」

「鬼道さーん!いましたよー」

さ、…佐久間……。まじかよ。こんな時に…というかこいつ、鬼道ちゃんの仲間か…!

「すまない、佐久間…」

「いえいえ鬼道さん、いつでも頼ってくださいね」

「ああ、頼む」

そうして佐久間は去って行った。あんのやろ!後でボールぶつけてやる!絶対に。だ!

「さて不動…これはお前だな」

「な、なんのこと?」

「バナナなんか書くやつはお前しかおらん!」

「バナナなんかっていうなよ。なんかって!」

バナナをばかにしたら俺が許さねぇ!あんなに美味いもん他にはないぞ。

「で、なんでこんな事した」

鬼道ちゃんはマントを広げて見せた。そこにはでかでかと俺の書いたバナナが残っていた。

「鬼道ちゃんにバナナ好きをアピールしたくてさ」

「それでもなぜ俺のマントなんだ!」

「一番目立つかなー。と」

鬼道ちゃんが怒りに震える。やっぱ油性で書いたら消えないからかな。という金持ちなんだからマントくらい買えよな。

「目立ってどうする!」

「まぁまぁ、似合ってるって」

「お前…明日覚えとけよ…」

な、何がだよ。そう聞く間もなく鬼道ちゃんは立ち去ってしまった。一体明日何があるっていうんだ。

「おはよう不動」

「はざーす」

「不動…そのユニフォームどうした」

必死に笑いをこらえて聞いてくる綱海を睨みながらも、視線を追ってユニフォームをみてみると…。

「なっ!」

そこには、I Love 鬼道 の文字。背中には背番号を打ち消すくらいのペンギンが描かれていた。
鬼道ちゃんを探して睨むと、鬼道ちゃんも俺を見て。ニヤッと笑いやがった。でも背中のマントに描かれたバナナがよく似合ってて俺も笑った。

「お前ら、仲いいんだか悪いんだかわからねぇよな」

「るせ、綱海のくせに」

「はは、あ、立向居ーっ」

立ち去る綱海を見て思った。お前らよりは、俺達の方が進んでるさ。

その後キラーフィールドをやるたびに笑いが起きたとか起きなかったとか。

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