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□遭難かな…
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俺ジンと暮らしている。っていってもジンは所謂「お偉いさん」の孫で、(そのお偉いさんはもういないけどね)俺は大豪邸にすませてもらっている感じ。
「ジンー!」
「なんだいバン君」
「ご飯食べよう!」
「わかった…でもあとちょっと待って」
そうして家をさ迷っていると後ろからメイドさんに呼ばれた。もともとこの大きな家は海道義光のものだったけどジンに引き継がれて、でもジンは八神さんに所有権を預かってもらってるみたい。全ての事は八神さんがしてくれている。海道義光の事も、今この家で過ごせるのも八神さんのおかげだ。
「バン様!テーブルにお座り下さい!ジン様も、もう来ておられます」
ジンも来てる!早く行かないと俺は走った。
「ああうん!今行く」
バタンッと扉を開けると食事が用意されていた。まだこの感じには慣れないけど…あと敬語も。
ジンと向かい合わせに座るとすぐに食事に手を伸ばした。
「…遅かったね」
「ごめん…色々あってさ」
淡々と会話を交わして黙々と食べていく。あぁ、美味しい。
「今日はパーティーするんでしょ?」
「うん、みんなも呼ぶしね、でも偉い人も来るから失礼がないようにね」
「うん」
その後夜になりみんながやって来た。わ、あの人テレビで見たことある!あの人も!チラッとジンの方を見ると八神さんと一緒にその人達と話してて俺はアミ達の元に向かった。
「バン!最近どう?」
「まずまずだよ」
「もうジンとはやってるんでしょ?頑張ってね」
「な、ちょっ…ああ」
「それより…あんた…ジンの事もっと気遣ってあげなさいよ。さっき気分悪そうだったわよ」
そう言い残してアミはカズのところに行ってしまった。体調管理とかはじいやがやってくれてるはずじゃ…どうなんだろ。
「バン」
「郷田!」
「今度…スキーに行かねぇか?」
……スキー?それは行きたい!やってみたい!うわー、今から楽しみだな。
「行く!」
「じゃあ来月の頭に三泊四日で行くから準備しとけよ、もちろんジンもな!」
「わかった!」
そうしてパーティーは何事も無く終わった。お風呂に入って寝ようとした時だった。
トイレに入ろうと廊下に出て、ドアノブを回すと鍵がかかっていた。
「ジン?」
「…バン…く、?…ちょ、待って…ね」
この声はやっぱりジン!掃除中かな。なんでだろ。長くなるんだったらいいんだけど。
「何してるの?」
「いや…なんでもない…すぐ開けるから」
「急がなくていいよ」
「い…ゃっ…うっ!ふ、ぅぇぇっ…ぐぅぇっ」
不吉な声が聞こえたかと思えば、ベチャベチャッとなにかが落ちる音。
「おい、ジン!?大丈夫?」
しかしドアは開かない。その時カチリッと鍵があいた。
「ごめん…もう大丈夫…使って」
ジンがよろりと出てきた。ふらりと壁に手を着くが俺におやすみ。と挨拶をして行ってしまった。
「?」
そして翌日。みんなは昨日の片付けに追われていた。それを片目に見ながら俺は学校に出掛けた。
「今日は平和だな」
「本当にすっげー暇」
よし今日は5時に帰れる。そのまま電車に乗って帰路についてベッドにダイブ!
「ラッキー…」
そう思えばお腹がぐぅと鳴る。チョコでも食べようかな。部屋からでて廊下を歩いていく。
すると曲がり角の所に黒いものが見えた。あれはなんだ?靴に見えるが…。
「誰の靴だー?って……え?」
倒れていたのだ。息を荒げてぐったりと。そして意識はない。
「おいっ!?ジン!?」
「はぁっはぁっ」
額に手を当てると熱い。すぐに発熱している事が解った。
「ぅ…ぁ…はぁっ」
「ちょっと我慢しろよ」
すぐに俺の部屋に連れ込むとベッドに寝かせ布団を被せる。
「ぅ…バン…君…?…ごほっごほっ!!」
「うわっ!無理すんな!」
「げほっげほっ」
もしかして…昨日トイレで吐いてた?だからあんなにふらふらだったのかも。てか昨日アミが言ってたのってこの事だったのか?
「今じいやを呼ぶから」
電話すればすぐに来てくれた。じいやはまず医者を呼び、俺に謝ってからジンを叱った。
「体調管理も自分で出来ないのですか」
「…ごめ…なさ…げほっげほっ…はぁっ」
こんな時まで怒らなくても…。俺はじいやを宥める。言ってることは正しいけどね。
「ジン…無理はダメだぞ」
「うっ……ん…はぁっ、はぁっ」
その後すぐに医者が来て診察をすると点滴をうちジンは自室に戻っていった。後で落ち着いたらお見舞いに行こう。
「ジン…」
そんなこんなでスキー前日。ジンはもう回復していた。
「ジン!明日一緒にスキーに行こう」
「うん」
「病み上がりだけど大丈夫?」
「大丈夫だよ」
「じゃあ準備しよう」
「ああ!」
そして翌日、ジェット機に乗ってスキー場やってきた俺達。辺りは一面雪景色。でもなぜか仙道も来ていて、終始郷田といた。
「おぉー!」
「泊まるところはあそこだ」
「すげー!」
それぞれ部屋に荷物を置く。俺とジンは同じへや。
「早速滑りに行こう!」
「いいよ」
ウェアに着替えると俺達は外に出た。よし、滑るぞ。
「スノーボード?」
「こっちの方が楽しそうだよ」
まぁそんなに上手くない訳でこけまくり。
「ぁっうわっ」
雪の中にグシャリとこけた。冷たい…。でも、ジンは上手いな…。なんでも出来てしまうんだから。俺達は笑ってその日を終えた。
寝るときは寒かったから二人同じベッドで寝た。身体は細くて小さくて本当に華奢だった。