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□遭難かな…
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そしてすぐに二日目がやって来た。
「…こほっ……」
「ジン?」
「行こうか」
今日は昨日より高いところまでのぼってみた。スノーボードで。うわー景色が綺麗だな。でも。
「…これって…」
「ああ…完全に」
「「迷った…」」
俺達は遭難した。雪も降り始めている。辺りはもうゲレンデどころじゃない。
「あ、家がある…あそこに入らせてもらおう」
「はぁ…」
中に入ると物置みたいに段ボールが積まれていた。登山用の器具ばかりで食料や毛布などはなかった。
「寒いね…」
「そうだね…っげほ」
「体調大丈夫?」
「うん…」
ジンの顔色は悪い。やっぱり無理して連れて来るんじゃなかったかな。CCMも繋がらないしどうするか…。夜になれば郷田達も気づくはずだ。
「バン君…」
「寒い?」
抱きしめてやると震えているのが解った。こうしてればお前も俺も暖かい。なんだかすこし…眠いな…。そう思いつつ眠気と戦うが何分か経って、ついに俺は意識を手放した。
次に起きたのは辺りが真っ暗になってから。起き上がるとバサリと何かが落ちた。…これはジンのウェア…!
「ジン!」
「…っバン…君…」
「ウェアっ!」
「げほっげほっ!ごほっ」
喉を押さえて身体を丸める。酷く痛々しい姿だった。俺はジンにウェアを着せると背中を摩った。
「…ぅ…はぁ…っ」
俺が背中を摩っていたが、グラッと頭が揺れて、俺とは反対方向にドサッと。ジンは床に倒れた。力が入らないのか中々起き上がらない。
「ジンっ」
「バン……君、今は雪……降ってない…から…下山…しよ」
「あ、ああ!」
俺はジンの肩を支えて立ち上がらせる。本当はおんぶしたいけどジンが猛烈に嫌がったからやめておく。
行くよ。と声をかけてから小屋を出る。一気に寒さに身を包まれる。
「ジン、大丈夫?」
「は、はぁ…っ…大丈…夫」
とりあえず斜面を下っていく。どれだけ下っただろう。いくら歩いても明かりの一つも見えやしない。
「バン君、電話…」
「え?」
パッとCCMを見ると、電波が立っていた。急いで郷田に電話する。郷田は出たが、やっぱり電波が悪いからかガザガザと雑音が入る。しかし、郷田は一大事ということはわかってくれたみたいで。今からジェットスキーで迎えに来てくれるらしい。
「頼むよ」
「任せろ!」
ブツッと電話は切れた。早く来てくれ…!
体を寄せ合って郷田達を待つ。二人とも寒さカタカタ震える。ジンはさっきから言葉数もへってすごく辛そう。俺も、なんだかしんどいし。
「おーい!」
「「!」」
ジェットスキーのライトが見えた瞬間、安心で力が抜けた。郷田がジェットスキーにのせてくれて、帰り道にはそこで寝てしまった。
そして次に目覚めたら
ベッドの上だった。
「ぇ…?」
「バン!」
郷田が駆け寄って来る。何で…どうやって此処に…。あぁ、そうだ郷田に助けてもらったんだ。
「ジンは今どこに?」
「寝てる…寝てたバンを運ぼうと俺が持ち上げた瞬間意識をなくして…酷い衰弱だったもんだから」
俺はこんなに元気なのに。何で…何でジンが!
「明日病院に連れていこう」
「ああ…うん」
ムクリと起き上がると俺はジンの元へ向かった。ドアをノックして部屋に入るとジンは苦しそうに息を荒げて寝ていた。
「ジン…ごめん」
そして翌日病院に行くと、ジンは風邪をこじらせただけとのこと。よかった。