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それは家族が増えて大分日がすぎたある日。

「おーい二人とも起きろ!」

「…はぁい…」

バンが眠たい目を擦って起き上がる。いいにおい…と言ってリビングに向かう。それはそうだ。もう5人分の朝食の用意は出来ているのだから。

「ジン、起きろ」

ジンは低血圧らしくてなかなか起きない。そして起きたとしても大抵期限が悪いんだと思う。思っていることが顔に出ないからなかなかわからないが。

「……ぁ…おはよう…ございます…」

「早く飯食え!」

「…はい…」

ジンをリビングに引っ張って連れていく。テーブルの前に座らせると全員でいただきますだ。

「美味しい!」

「そうかそうか」

バンには笑顔が戻ってきた。時々フラッシュバックのように怯えたり、怒りをあらわにして怒ったりとなんだか二重人格のように感じることもあるが普通に戻りつつある。

「ジン、もっと食べろよ」

「…はい」

一方ジンといえば、ここの生活には慣れたのだろうが、濁った目といい警戒心といい、最初に来たときから変調は見られない。

「さ、今日は洗濯するぞ」

「はーい」

ごちそうさまをしてみんなで洗濯物を洗う。大きいものは洗濯機だが、入り切らないものは手洗い。時間とお金の節約だな。

「すごい量だな…」

「まぁ少しずつやっていけばなんとかなるだろう」

八神がそう言って洗濯物を手に取った。拓也はもう洗い始めている。バンとジンも洗濯物を手に取った。

「ん?ジン、その手」

パッとジンの手を取る。うわ、痛そう。あかぎれが全体的に酷いし所々ひびが入って血が滲んでいる。ガサガサじゃないか。

「痛くないのか?」

そう聞けばジンは曖昧な顔。…痛いか。そりゃあそうだよな。

「ったく、ハンドクリームくらい言ったらあるだろうに…拓也!」

拓也を呼べば、なんだ?とこっちに歩いてきた。ジンの手を見せ説明すると拓也は呆れた顔をしてジンを連れていった。

「バン、手見せてみろ」

「?、うん」

パッと見せられた手は少々ガサついているもののあかぎれなども見当たらず年相応の手といえた。何でジンの手だけあんなにガサガサなんだろうか。

「檜山、ジンの処置終わった」

「ああ、ありがとう」

「ジン、我慢はよくないぞ」

「……はい…」

そのまま洗濯物を洗い終わって、みんなで屋上に干す。次は何をしようか。

「私は行ってくる」

「え?」

「仕事だからな」

あぁ、八神は仕事か。俺もブルーキャッツをそろそろ開かないとな。いくら子供っつったって、食費やらなにやら金がかかる。ちゃんと稼がないと。

「拓也は?なにかあるか?」

「いや、大丈夫だが…」

「お前仕事は?」

「いや、いつでも来れるときでいいって言ってくれてるから」

あぁ、仲直りしたんだったっけ。じゃあ大丈夫だな。俺がブルーキャッツでコーヒーいれてる時は拓也に子守をさせよう?

「俺、ブルーキャッツ開いてくる」

「え?」

聞き返してくる拓也に金が必要だろうと耳打ちをする。すると拓也は、あぁそうか。と納得し、俺を送り出した。

「後で手伝いにいくよ

「ああ」
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