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やっと帰ってきた。遅いよ。何してたんだ。手元を見ると今日の夕食の材料らしいでかい袋と薬局の袋。
……夕食の買い出しは後でよかっただろう。ジンがあんなに痛そうだったのに。
「今痛み止め飲ませたよ…」
「あら、じゃあこれいらなかったな」
檜山が買ってきた薬をベッドに置いた。そしてジンの頭を撫でた。
「まだ腹痛そうじゃん」
「俺もなんでかわからないからさ…」
「んー…ジン、何したんだ?」
檜山が問い掛ける。ジンはわからないといったように首を振る。俺達もお手上げだ。
「なんか…病気か…?」
「保険入ってないから治療費ばかにならないぞ」
いや、でもこんなに痛がってるんだし…。
「トイレじゃねーの?」
「うーん…かな…?」
「浣腸してみるか?」
うーん…でもそれは…ジンをチラッと見る。お腹を押さえてうずくまっている。さっきよりは表情が固くないがまだまだ痛そうだ。
「浣腸は…やめた方が」
「…あ、そうだな」
またどうしようかと悩む俺達。なにか、ないか?トイレでスッキリ出来るもの。
「あ、正露丸!」
昔ながらのこの薬だったら効くんじゃないだろうか。匂いは抜群に最悪だけど。
「あぁ、そうだな今もって来るよ」
檜山が救急箱を取りに行く。そしてすぐに帰ってきた。正露丸の瓶の蓋を開けるとあの匂い。バンが臭いと鼻をふさぐ。
「ジン、これ飲んでトイレ行こうか」
ジンの鼻をつまんで正露丸を水で流し込ませる。そして抱き上げてトイレに向かう。これで大丈夫だろう。
「檜山…」
「ああ…八神のすごさがわかったな」
「ああ」
八神はいつも俺達が体調を崩した時や、この前のバンの擦り傷だってすぐに処置をして最速で治してくれる。
「ジン、でたか?」
そう聞くが返事は帰ってこない。トイレを覗くとジンはちょこんと便座に座っているだけ。
「なるべく気張れよ」
「…はい…」
そして、でたらリビングにおいで。と言って俺達はリビングに向かった。
「夕飯作るから、檜山は風呂沸かしてきて」
「またボイラーと戦うのかよ…」
「ジンの腹、温めてやらないと」
「あ、そうか。それもそうだな。行ってくる」
檜山がボイラー室に向かった。俺は檜山の買ってきた材料を見て献立を考える。いつも買ってくるのはセールの安い品と決まっているから、献立は買ってきた材料を見て決めるのだ。