TEXT2

□助けてよ
1ページ/1ページ


ダァンッ!
銃声が響き渡る。そして、ドサッ。なにか重い物が落ちるような音。その後には呻き声。

「ぃ…痛、い…ぁ、がはっ…バン…助け、て…」

「カズ…!」

駆け寄ろうとした時、再び2発の銃声。ドサドサッと音がする。振り返るとまた人が倒れている。

「郷田!仙道!」

名前を呼んだ瞬間に銃声。しかも今度は複数。人が倒れる音がする。嫌だ、次は誰だ。

「アミ…?」

「バン…助け…て…」

アミが俯せに倒れながらも手を伸ばしてくる。血の匂いが部屋に充満している。そのせいか、はたまた状況が理解できていないのか頭がくらくらする。

「ヒロ…ラン?」

「バンさん…はぁっ…」

「バン…っ…痛い…」

助けて助けてと手を伸ばしてくるみんな。血にまみれて息も絶え絶えだ。しかし手を伸ばすのだ。俺、私を助けてくれるでしょう?と。
ダァンッ!また銃声が響き渡る。後ろで音がした。振り返るとジンだ。

「ジン!」

「バン…君…」

俺を確認するとジンが手を伸ばした。助けて。と。俺は発狂しそうだった。全員を助けるなんて無理だ。せいぜい一人か二人。誰かを選んで誰かを見捨てるなんて出来ない。

「なぁ…バン…俺達親友だろ?…もちろん俺を…助けてくれるよな?」

なぜ撃たれてこんなに喋れるかはわからない。でもみんなは俺に助けを求める。

「バン…私を助けてくれるわよね?だって幼なじみよ?」

「バン、助けてくれよ…いつでも占ってやるぞ?なぁ…」

「レックスを思う気持ちは一緒だ…バン…助けてくれるだろ?」

「バンさん…僕を助けてくれますよね?あんなにLBXを教えてくれたんだからこれからも教えてくれますよね」

「バン…助けるのはあたしだよね…世界を救うためって誘ってきたのはバンでしょ…?」

みんなが口々に助けを求める。ジンを見ると、ジンも口を開いた。

「バン君…僕を助けてくれるんだろう?だって…俺が守るって言ったじゃないか」

「俺は…ッ」

「「「「助けてよ」」」」

「う、う…ッあ…うわああああああ!!!!?」

俺は頭を抱えた。どうすればいい?頭が痛い。割れるように。みんな狂ってる。狂ってしまった。もう戻れない。

fin.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ