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□助けてよ
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ダァンッ!
銃声が響き渡る。そして、ドサッ。なにか重い物が落ちるような音。その後には呻き声。
「ぃ…痛、い…ぁ、がはっ…バン…助け、て…」
「カズ…!」
駆け寄ろうとした時、再び2発の銃声。ドサドサッと音がする。振り返るとまた人が倒れている。
「郷田!仙道!」
名前を呼んだ瞬間に銃声。しかも今度は複数。人が倒れる音がする。嫌だ、次は誰だ。
「アミ…?」
「バン…助け…て…」
アミが俯せに倒れながらも手を伸ばしてくる。血の匂いが部屋に充満している。そのせいか、はたまた状況が理解できていないのか頭がくらくらする。
「ヒロ…ラン?」
「バンさん…はぁっ…」
「バン…っ…痛い…」
助けて助けてと手を伸ばしてくるみんな。血にまみれて息も絶え絶えだ。しかし手を伸ばすのだ。俺、私を助けてくれるでしょう?と。
ダァンッ!また銃声が響き渡る。後ろで音がした。振り返るとジンだ。
「ジン!」
「バン…君…」
俺を確認するとジンが手を伸ばした。助けて。と。俺は発狂しそうだった。全員を助けるなんて無理だ。せいぜい一人か二人。誰かを選んで誰かを見捨てるなんて出来ない。
「なぁ…バン…俺達親友だろ?…もちろん俺を…助けてくれるよな?」
なぜ撃たれてこんなに喋れるかはわからない。でもみんなは俺に助けを求める。
「バン…私を助けてくれるわよね?だって幼なじみよ?」
「バン、助けてくれよ…いつでも占ってやるぞ?なぁ…」
「レックスを思う気持ちは一緒だ…バン…助けてくれるだろ?」
「バンさん…僕を助けてくれますよね?あんなにLBXを教えてくれたんだからこれからも教えてくれますよね」
「バン…助けるのはあたしだよね…世界を救うためって誘ってきたのはバンでしょ…?」
みんなが口々に助けを求める。ジンを見ると、ジンも口を開いた。
「バン君…僕を助けてくれるんだろう?だって…俺が守るって言ったじゃないか」
「俺は…ッ」
「「「「助けてよ」」」」
「う、う…ッあ…うわああああああ!!!!?」
俺は頭を抱えた。どうすればいい?頭が痛い。割れるように。みんな狂ってる。狂ってしまった。もう戻れない。
fin.