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□やってきました海
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車に揺られて着いた先は
真っ青な海が広がる海岸。
「すごーい!」
「俺の知り合いが海の家経営してんだ」
連れて来てくれたのは郷田。アミやカズ、もちろんジンに仙道までいる。
「ホテルはあそこだ」
指をさされた方を見たら少し離れたところに白くて綺麗なホテルがあった。
「部屋は3部屋取ってあるけど…どうする?」
「俺はジンと!」
絶対ジンと!ホテルで二人きりなんていつもならありえないしそれに恋人と同じ部屋じゃなくてどうするんだよ。
「はいはい…じゃあそこはそれで。お前らは?」
「私はカズとでいいわ」
「えっ」
カズが声をあげる。するとアミが何よ不満?と低い声でうなったためカズは不満じゃないです。と縮こまった。
「いや、アミは女の子だからさ…」
「じゃあカズは廊下で寝泊まりするのね?」
「え、」
「あんたが思ってるようなやましいことは一つもないわよ」
「なっ!」
「まぁ、別に付き合ってあげてもいいけどね」
アミがふふんと笑ってカズはたじたじ。まぁこれで部屋は決まったわけだし、一件落着ってことで!
そしてホテルに荷物を置きに行く。従業員の人も優しそうでよかった。
「バン君、」
「海行こう!」
「ああ!」
荷物を置いて海に走り出そうとした時郷田にばったり。危うくぶつかるところだった。
「明日からは海の家でみっちり働いてもらうから今日のうちに楽しめよ」
「「え?」」
働いてもらうから?夏休みなのに働くの?遊びに来たんじゃないの?いろいろ疑問がいっぱいだったが、郷田が当たり前のような顔をして話しを続けた。
「前に言っただろ?他みんな知ってんぞ?」
「うそ!まぁわかったよ」
「ああ、そういうことだからよろしく頼むわ」
そう言って郷田はどこかに消えてしまった。休みじゃないのか…海の家でみっちり働くなんて…まぁ、決まったことは仕方ないが。
「バン君…海」
「あ!そうだった!行こうジン!」
そのままジンの手首を掴んで海に飛びだした。今日は楽しもう!
「カニさんいるかなー?」
「いるんじゃないか?」
そんな雑談をしながら浮輪を膨らまし海に出る。気分は爽快だ。
「わ、冷たい!」
「でも綺麗だな…」
少し水が冷たいが太陽に熱された身体には調度いいかもしれない。
「あ、魚がいるよ」
「本当だ!」
顔をつけると魚が泳いでいるのが見えた。あ、海藻が流れてきた。
「ジン、海藻だよん」
びろーんと広げてジンに引っ付けようとする動作をすると、ジンは慌てて後ろに下がった。ぬるぬる嫌いなんだよね。
「ちょ、バン君やめて」
「キスしてくれたらやめてあげるよ」
ジンは迷うような表情をしたが、どうやらぬるぬるしたものは本当に苦手なようで俺に口づけた。そしてすぐに離れる。
「上出来」
海藻を海に放り投げる。手に着いたにゅるにゅるを落としてジンの頬を触る。
「みんな見てるよ」
「大丈夫だよ」
チュッとリップ音がするくらい大袈裟にキスしてやれば、ジンは赤くなって、もう…と呟いた。可愛いな。でも少ししょっぱかった。海の味がしたな。
「さ、遊ぼうか」
「うん…」
その後も海の中でキスしてみたり浮輪に隠れてキスしてみたりした。カニ探しもしたよ。
夕方ホテルに戻ってお風呂に入る。ジンは日焼けた所が真っ赤になって熱を持っている。冷やそうと濡れタオルで触れると痛いのかやんわり抵抗するため大変な事になっている。
「つかまえた!」
「っひ!」
その後保冷剤を乗せ冷えピタで冷やす。早く解消してほしいものだ。
「飯だぞー」
「「はーい」」
郷田に言われたらしい仙道が呼びに来た。ご飯だっ。食堂に駆け込むともう全て用意されていた。
「すげー」
「「「いただきまーす!」」」
皆で食べはじめる。すごく美味しくて箸が止まらない。この魚は新鮮で美味しいな。さすが育ち盛りと言うべきかすぐにみんな平らげてしまい、雑談をしながら部屋に戻った。
部屋に帰ったあとジンはすぐに寝てしまった。可愛い寝顔を見ると襲いたい気持ちがじわじわと侵略してきて頭を振る。俺ももう寝ようと反対側のベットに寝転がるといつの間にか寝てしまっていた。
「ん…」
朝起きるとジンは着替えていた。昨日より少しラフな恰好になっている。
「バン君おはよう」
「おはよう…」
「寝癖…ついてるよ」
鏡を見ると確かに寝癖がついていた。ガシガシと手で整えるがどうしても跳ねてしまう。水で濡らしてもぴょこんと跳ねる。どうしようか。
「アミさんに言ったら直してくれるんじゃないかな」
「そうするよ」
そのまま朝飯を食べに行き、アミに寝癖を直してもらうと俺達は海の家に向かった。
「よろしく!」
「よぉ、久しぶりだな」
「早速働いてもらうぞ!」
「おう!」
俺達は役割を決めて働きはじめた。俺と郷田が買い出し。ジンと仙道がフロア。アミとカズが貸し出しだ。
「あと5分で開店だ」
「「あ、買い出し行ってきまーす」」
なくなりそうなものをピックアップして買い出しに行く。帰った時に見たジンの接客は可愛いかったよ。みんなジン(と仙道)を見てた。