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□一人にしないで
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ユウヤが目覚めて第一声がそれ。

「一人に、しないでよ…」

「ユウヤ…」

ベッドの上に座ったまま。不安げに僕を見つめる目にまだ光はない。だらんと伸ばされた腕と放り出されたような脚。動くのだろうかと心配になる。

「怖い…一人は怖い…」

もしもあの時御祖父様に助けられたのがユウヤで、僕がユウヤみたいに実験に使われていたら。ユウヤと関わるうちにそう考えない日は無くなった。

「大丈夫だよ」

「……ジンも…いなくなっちゃうの?」

いなくなる。僕が。ユウヤにとっての「いなくなる」とは一体何なのだろうか。
相手が死んだらいなくなるなのだろうか。それとも一生目の前に現れないことがいなくなる?
いなくなる。にも沢山ありすぎてユウヤの言っているいなくなるがどれを指しているかなんてわからないが、とにかく今は一緒にいるのだから。と宥める。

「いなくならないよ」

「よかった…」

その時CCMが鳴って僕はそれに出ようとユウヤに

「すこし電話してくるね」

と断りを入れて外に出ようとした。するとユウヤが一人にするの?と僕に言った。何とも不安そうな声だった。まるで今いなくならないって言ったところではないか。とでも言いたげな声色。

「すぐ戻って来るよ」

「………やだ」

「え?」

「…やだ…ジン君…いかないで…いなくならないよって…言ったじゃ、ないか…」

ああ、違う。僕と捉らえ方が違う。それもそうだ。安易にそんな言葉を吐いた僕が悪いのだ。

「ユウヤ、」

「?」

言わなくてはならない。僕のためにもユウヤのためにも。これを言ってしまえばまた不安げな声で僕に何か言うだろうか。

「ずっと一緒っていうのは無理だろう?」

「なん…で?」

「ユウヤにも検査があるし、トイレにも行くだろ?」
ユウヤが頷く。それに僕はついていくことは出来ないし、逆にユウヤがついて来れないことも僕にはある。

「僕にもここで出来ないことや、外でやらなければいけないことがあるんだ」

「でも…」

「いなくならないっていうのは無理だね」

「ジン君っ」

「でも、」

もう少し回復したら。と思っていたが今でいい。とユウヤにCCMを渡す。

「何かあればすぐ駆け付ける」

操作方法は解るだろう?と聞くと頷いたから大丈夫だろう。また回復したらLBXを持って来よう。後で手配しておかなければ。

「とりあえず一人にはしない…会えるときは来るし、来れない時にはメールか電話をしよう」

それでいいかい?とユウヤに聞くとユウヤはゆっくり頷いた。僕はユウヤの手を取ると

「いなくはなるけど帰ってくる」

「うん」

「また、僕の知り合いを連れて来るよ」

「本当…?」

「ああ」


Fin.

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