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□海水浴
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「ぅ…海だぁぁぁあ!」

カズとアミとジンと仙道と郷田。そして俺。この6人で海に来ていた。

「バン君…本当に僕が居て良かったのかい?」

そうジンに話しかけられる。そんなこと気にして…、もうみんな打ち解けているのに。

「…当たり前だろ…大体…何でジンが居たらダメなんだ?」

「バンくっ…!」

そのままジンの手を握ると強引に引っ張ってみんなの所まで連れていった。

「もうっバン達遅い!罰としてパラソル立ててよね」

「えーっ、まぁいいや、やろうかジン」

「うん」

それにしても大きなパラソルだな。たてるのが大変だ。まぁ、時間がかかりすぎて結局は郷田に手伝ってもらっちゃっけど。

「バン!」

「あ、バーベキューか」

それの用意もしなきゃならないなぁ。まだ野菜も洗ってないし…やること多いよ。

「アミ!グリル出して」

「わかった」

シートを引いて…みんなの荷物をそこにおいて、パラソルも影が当たるように設置したから、後は浮輪を膨らまさなきゃ。

「おぉ…!」

ジリジリと焼くように照り付ける太陽から逃れる日陰が作られたからか仙道はそこに一目散に入り込む。

「おー…パラソルがでかい分影もでかいな」

「おい、仙道手伝えよ」

郷田が文句を言う。仙道はそれを無視して日焼け止めを塗りだした。

「お前な…おら行くぞ!」

「や、やめろよ離せ!」

そういって郷田は仙道の腕を引っ張った。そして野菜類を持つと洗って来ると言って海の家に向かって行った。

「グリルできた!」

「よし、火つけようぜ」

そう言って次々に炭をいれる。ジェルを入れて火をつける。よし、燃えろ。

「バン、ジンそれで扇いで」

「わかった」

パタパタて扇ぐと段々火がつきはじめた。ジンも扇いでいる。というよりジンが普段の堅苦しい服以外のを着てるところ、初めて見た。焼けてない肌が綺麗で可愛いな。って…何考えてるんだ。俺は邪念を振り払うが如く団扇で木炭を扇いだ。

「あ、ついた!」

そう言われてはじめて気付いた。その上に網を乗せる。早く食べたいな。

「待たせたな!野菜洗ってきたぞ!」

郷田と仙道が海の家から野菜を持って帰ってきた。ナイスタイミング!

「お、火ついてんじゃん!」

「ねぇ、食べようよ!」

早く食べたい!というよりみんなでするのが楽しくてしょうがない。

「はぁ?まだ昼じゃねーじゃん」

「海に来たんだから泳ぎましょう」

あ、そうか。今日は海水浴に来たんだった。バーベキューに来たんじゃないんだ。

「そっか」

そう思えば海で泳ぐのもいいな。でも火、点けちゃったのにどうするんだ?

「でも火はどうする?」

「確かに…」

点けたままは流石にダメだろ。みんなが考える中不意にジンが言葉を発した。

「僕がバーベキューの用意しておくからみんなは遊んで来たらどうだい」

え?ジン?せっかく遊びにきたのに…。その優しさはわかるけど俺は一緒に遊びたかったのに…。

「でも、悪いわジン」

「いいよ、僕泳がないから」

「こいつがいいって言ってんだしいいだろ?」

仙道が嫌みったらしく言う。そうだけど…でもジンに任せたらいろんな意味で危ない。まず、バーベキューを知っているのか?それに野菜を切れるのか?他にもジンがナンパされちゃったらどうしよう!

「ジン、いいの?」

「ああ」

「そっか。じゃあ行こっか!ありがとねジン」

アミが浮輪を抱えてもう行く気まんまんだ。早く早くと目を輝かせて待っている。

「待てよアミ、俺も行く。」

カズがアミと一緒に海の方へ歩いて行ってしまった。残ったのは俺とジンと郷田と仙道だ。

「バン!俺達はちょっと水泳でけり付けて来るよ。」

「はぁ?」

仙道が怪訝そうな顔をして睨むが郷田は泳げないのか?なんて挑発する。

「あぁ?馬鹿にするんじゃ無いよ。お前になんか負ける気がしないね」

その挑発に仙道は乗り、二人でダッシュで海に向かって行った。俺達はどうするかなぁ。

「ジン、本当に泳がないの?」

「任せて…バン君は泳いできていいよ」

なんだか心なしか顔が青い気がする。………やっぱり、海だから?

「ジン……やっぱり怖い?」

そう言うとジンは海を見つめてコクりと頷いた。あぁ、やっぱりあの事故だ。強引に連れて来てしまって。本当はここにいるだけでも辛いだろうに。

「ごめん、海、連れて来て」

「バン君…僕はバン君達とだから来たんだ。」

ジン…。あぁ、もう本当可愛い。死ぬ。そんなこと言われて一人にするはず無いじゃないか。

「ジン、大丈夫。俺が絶対一人にはさせないから」

「バンくっ…」

ギュッと抱き着く。旗から見れば男同士、しかもこんな暑い中抱き合うだなんておかしいと思われるだろうがそんなこと気にしない。

「大丈夫だから。」

「うん、…ありがとう」

「さ、ジン、バーベキューの用意しようか」

「え、」

「好きな奴放って泳ぎにいけないよ。俺はジンといれたら幸せだし」

「バン君…ありがとう」

よし、バーベキューの用意しよう。まずは肉かな。そのままトングで掴んで網に乗せる。今のところ順調。でもパラソルの外でやる分暑い。まぁでもジンといれたらそんな事どうでもいいけど。
暫くして野菜やお肉をひっくり返すといい匂いが漂う。それに釣られたのか、それとも疲れたのかみんなが続々と帰ってきた。

「お、出来てるじゃん」

「わ、二人ともありがとね」

アミがみんなに調味料と紙のお皿を渡すとすぐにモグモグと食べていく。焼いたかいがあったなぁ。

「バンは食べないのか?」

カズに聞かれる。そうだな食べたい!よし、食べよう!もぐもぐと頬張ると肉や野菜の味が口いっぱいに広がってすごく美味しい。

「ジンは食べないの?」

「え、あぁ…ありがとうアミさん」

ジンもアミにお皿と串を渡されパクッと口に含んだ。美味しそうで何よりだ。

「郷田、仙道もどうだ?」

疲れたのかパラソルの下で肩で息をしている。海で泳いでああなるなんて重症だ。一体どれだけ競争したんだ。

「あぁ…ありがとう」

「置いておいてくれ」

それから暫くみんなでワイワイ食べると沢山あったはずの材料がもう無くなってしまった。流石育ち盛り。
仕方なく片付ける。まだ始まったばかりなのにバーベキューは終わってしまった。

「じゃあ今からは遊ぶわよー!」


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