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□紛れも無くそれは
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今日はテレビで噂のホラー番組があるそうだ。俺は絶対見ようと思う。

「ジン!今日ホラー番組があるんだって!」

学校に居たジンに話しかける。ジンはお化けなんて全く怖くないんだろうな…人が死んでも、お祖父さんがアンドロイドでも顔色一つ変えやしない。

「…そうなのか」

「何だよー興味ないの?それとも怖い?」

そんな無いと分かってて
からかってみる。

「そんな訳無いじゃないよ…」

「そっか」

「じゃあ今日…バン君の家に行っていいかい。一緒に見よう、バン君」

「え?」

何で俺の家なんだよ…。べつにいいけど。自分の家で見た方がテレビも大きいんじゃ…。まぁいいや。部屋の掃除手伝ってもらおう。

「分かったよ。そのかわり掃除手伝ってもらっていい?」

「いいよ」

そう言って委員会だったからジンとはそこで別れた。そして委員会終わりにジンを迎えに行く。

「ジン…行くよ」

「うん」

二人で歩いて家に向かった。家につくと、番組が始まるまでまだ2時間もあった。

「掃除手伝って」

「わかった」

その辺に脱ぎ散らかした服をまとめて洗濯機に入れる。それを洗っている間に
ゴミをまとめ袋に入れる。すると部屋は急に広くなった。
母さんにあらバン、急にどうしたの?偉いわね。何て言われる始末。
オーディーンやアキレスも一つの場所にまとめ、まだ開けてない箱も積み上げる。そんな時洗濯機が洗い終わった事を知らせる。

「洗濯はやっといてあげるわ」

「母さんありがとう」

テキパキと仕事をこなすジン。きっとジンの家は執事もいるしすごく綺麗なんだろうな。

「綺麗になったね…」

番組まで後30分だ。今の時刻は8時半。

「晩ご飯はどうするの?」

「僕は別にお腹すいてないよ」

「俺も…」

じゃあ、まぁいっか!食べなくても。お腹が空いたら母さんに何か作ってもらおう。そういやぁ番組……ジンは怖い訳無いか。

「バン君はこういう番組に興味があるのかい?」

「うーん別に…面白いって聞いたから」

もしジンがお化けが怖かったとして。仮にテレビを見てる時にびっくりしてしまって。あわよくば俺に抱き着いてきてくれないかな…。絶対そんな事有り得ないけど。

「あ、始まったよ」

「おー…」

中身はまぁまぁ怖いものだった。ジンを横目でチラリと見ると無表情で食い入るように画面を見ている。何だか俺だけが番組に躍らされているようで自分でも笑えた。

「ジンは怖くないの?」

「…あまり恐怖というものは感じなかった…」

ジンから返ってきた返事は期待ハズレといったら期待ハズレ。でもジンらしいといったらジンらしい。まぁ当然の予想していた返事である。

「それはそうとバン君は…怖かった?」

俺は大分怖かったかな。特にあのホームにある生々しい手首。あれは本当に怖かった。

「あー…ちょっと」

その時母さんの持ってたお玉が食器だなにぶつかり盛大な音を立てた。

「…っひ!?」

するとジンは肩を跳ねさせ電光石火のごとく俺の手を握った。……あれ?

「ジン?」

その様子に心配して俺はジンの肩を触る。

「っわ!?」

…まさか。…ジン。そう思えばなんだこれ可愛い。

「…じゃあ今日はもう帰った方がいいよ」

「…ぇ…あ、うん」

あ…なんだか確信的になってきた。

「あ、俺トイレ行ってくる」

わざと立ち上がって歩きだそうとすると手首を掴まれた。

「ジン?」

我慢してないとニヤニヤしてしまいそうだ。必死に冷静を装う。

「やっ…あのっバン君…決して怖くはなかったんだ…」

ジンの紅い瞳に浮かぶ色は紛れも無く恐怖。今にでも泣き出してしまいそうだ。無表情でもジンなりに怖がっていたらしい。ただこの感情が恐怖とはあまり思ってなかったのだろう。

「終わった後なんか…ジワジワくるものがあって…心臓がドキドキするんだ」

「そう」

「決して怖くはなかったんだけど…ただ…」

そろそろ優しくしてやるかな。優しくジンの頭を抱え撫でる。

「素直じゃないなぁ…まぁ、今晩は泊まって行ったら…?」

「バン君…いいの?」

「いいよ…ただベッドは一つだけだけどね」

「ありがとう…」

思ってたのとは全くと言っていいほど展開が違うけどま、甘えてくれたということで結果オーライだよね?

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