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□声の主は誰?
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ピリリリ…CCMの着信音が部屋に反響する

「また…か」

最近何回も何回も知らない番号からかかってくる。

「もしもし…」

相手は僕をからかうように毎日毎日電話がかかってくる。誰かに相談すればいいのだが、相手は誰か解らないし何をやってくるか解らないから迂闊にそんなことが出来ない。

着信拒否…それも考えたけど電話に出なかったら出るまで何度もかかってくるし、家の電話番号も知ってるって言ってた。もし、僕が電話に出なくて家にかかってくるようになったら、じいやにも御祖父様にも迷惑をかけてしまう。それだけは避けたい。

「…それじゃあ…さよなら」

ブツリと電話を切った。ずっと堪えつづけるしかないのだ。だって、前はそれでもやって行けたから。でもそれは、前は。の話。
かわって最近は涙が出そうなくらい追い詰められている。ストレスが重くのしかかりなんにも集中できない。不安で仕方ないのだ。
上手く呼吸が出来ない。誰か。誰か助けて。

「助け…て…」

夢にまで出てくるあの声。ぐるぐると回っては反響を繰り返す。

『ねぇ、海道ジン』

やめてくれ。僕の名前を呼ばないでくれ。頼む…!

一体お前はだれなんだ!




「ン!…ジン!」

誰だ一体誰なんだ。僕の名前を呼ぶな。もう、やめてくれ。

「っ…や、めろ!」

思わず叫んだ。そして捕まれていた手を振りほどいた。

「、ジン…?」

「……バン、君…」

何と言うことだ。僕を呼んでいたのはバン君だったのか。

「どうしたの?何があったの?」

「いや、なんでもないんだ」

「そんな訳…!」

「夢、悪い夢を見たんだ」

きっとあれは悪い夢。大丈夫。現実じゃない。もう誰からも電話なんてかかって来ない。

「本当に?」

「ああ、だから大丈夫だよ、起こしてくれてありがとう」

「よかった…」

どうやら迎えの車が来るまでに教室で自分の机に突っ伏して寝てしまったようだ。そしてその寝ている時の夢にうなされた僕を心配したバン君が起こしてくれだみたい。

「ジン、電話鳴ってるよ」

「……え?」

そんなまさか。何かの間違いだ。嫌だ、違う、そんな訳無い!

「執事さんみたいだけど…」

「ぁ、じいや…」

なんだ、よかった。そういえば迎えに来てもらってるんだ…。あぁ、よかった。

「バン君、送るから帰ろう」

「本当に?いいの?」

「ああ、さぁ、はやく」

バン君と一緒に学校を出る。校門をくぐって車まで歩いて行く。

「聞いてジン、今日ね−−−−…」

たわいもない話しをして車に乗り込む。その時僕の電話が鳴っていた事に誰も気づかなかった。




夢じゃない。

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