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□誰のもの?
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あと、1時間。1時間で日本だ。





ヒロとLBXバトルをして、俺は必殺ファンクションを繰り出そうとボタンを叩く。

「必殺…!」

そんな時に着信音。普通の電話なら空気読めよとか、そうなるけど、この電話はそうはいかなかった。

「ヒロ、ちょっとごめん」

「え?は、はい」

この着信音は紛れも無くジンだ。3日前の電話からずっと待ち侘びていた。今から飛行機に乗るのかな。

「バン君、」

「ジン!」

「日本に着いたよ」

……え?ちょ、ちょっと早くない?だって1時に着くって…。時計を見ると1時5分。ああああ!ヒロとのバトルに熱中し過ぎて時間忘れてた!

「今空港だよね、すぐ行くから待ってて!」

「え、ちょっ、バンく…」

ブチッ。CCMを閉じ、俺は急いで上着を羽織って、ヒロの元に行く。

「ヒロ!ごめん今日はもう終わり!ジンが帰ってくるからさ」

そう言うと、ヒロは少し考えてから、ハッと手を叩いた。

「ジンって、あの海道ジンですか?秒殺の皇帝!」

「そうだよ」

「僕も行きます!LBXをやり始めてからパソコンで調べてみて、一回会ってみたかったんですよね」

「そっか!じゃあ行こう!」

そう言ってDキューブをしまって、LBXを鞄に入れると、二人で駅まで走った。はやく、会いたい。

空港に着いたのは1時20分。ジンを探すと、すぐに見つかった。あれ?横にいるのは…あ!灰原ユウヤ!

「ジン!」

「あ、バン君!」

すぐに駆け寄る。なんだか髪の量が増えたような…。背はまた高くなってる。灰原ユウヤもなんだか顔色がいい。あ、笑った。

「久しぶり!そっちはどうだった?」

「うん、沢山学ぶことがあった…というかバン君、背、伸びたね」

「ジンこそ」

他愛もない話をしているとジンの腕をユウヤが引っ張った。なんだい?とジンが顔を寄せる。するとユウヤはジンにチュッとキスをした。な、な、何なんだこいつ!俺のジンを!

「ジンは僕の」

「ユ、ユウヤ…」

「ジン、ジンは俺のだよ!」

「バ、バン君?」

何を争っているんだい二人とも。とジンの制止の声が聞こえたが、ユウヤにキスされたんだ。こっちだって黙っちゃいられない。

「ジンは俺のだ!」

「僕のだよ」

ギャーギャー騒いでいるとジンが俺達を引き離した。そして

「僕は誰のものでもない」

と眉をしかめて言うから俺達は静かになった。そのあとジンは俺に向かってあの子は誰?と聞いてきた。そうだ。ヒロのこと忘れてた!

「こいつは」

「僕、大空ヒロです!秒殺の皇帝こと海道ジンさん、あなたに会ってみたかったんです」

「どうも、君もLBXをやっているのかい?」

「はい、最近始めたばかりですが…」

「そうか…ヒロ君、よろしくね」

「はい!」

握手をして微笑み合う。な、なんだかいい雰囲気!このままだったらヒロに取られちゃうよ!

「ジン、バトルしよう」

「そうだね、僕もう負けないよ」

ジンがCCMを取り出そうとした時ヒロがジンの手を取った。ジンはキョトンとヒロを見つめる。

「バンさんより、僕とバトルしませんか?それで、勝ったらジンさんは僕のもの!」

はぁ!?ヒロもライバルかよ!ジンを見つめると、フッと笑っていた。

「いいけど、僕は負けない」

そう言ってバトルが始まった。しかし決着はすぐに着いた。

「ごめんね」

そう。ジンの勝ちで。
というか、ジン、すごく強くなってる。俺は勝てるかな。早くバトルしたい!

「ぅぐぐ…さすが秒殺の皇帝…でも、諦めませんから!」

「ああ…楽しみにしてる」

「ジン、次は俺だ」

「あー…バン君、待って人が集まってきた」

さっきのバトルで人が集まってきたみたいだ。まぁ当然かここは空港なんだし。

「一旦出ようか」

「ああ」

外に出ると寒さが身に染みた。やっぱり冬は寒いよ…。

「ユウヤ、眠いのかい?」

「…時差ぼけ…」

そういえばさっきからユウヤの目がうつらうつらしている。

「今じいやを呼ぶよ」

ジンはCCMで執事さんを呼んだ。車は物の5分で来て、ユウヤを中に寝かせた。

「ジン、早く帰ろう…」

「ねぇ、ジンさん僕と今から遊びに…」

「ジン、行くよ!」

俺はジンの手を引いて走り出した。ジンの持っていた大きな荷物はヒロの前に置き去りだ。

「ちょ、バンさん!抜け駆けは……!!」

「俺の勝ちだ」

そのまま走って走って河川敷まで行く。あ、夕日が綺麗だ。

「はぁっ、はぁっ」

「ジン、久しぶり」

「そうだね、バン君」

「ここでバトルしたの覚えてる?」

「ああ」

「好きだよ」

ジンの返事はその時叫んだヒロの声とユウヤが乗った車の音によって制止された。

惜しかったな。

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