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□嫉妬と恐怖
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「は、ぅ…バンく…」
ジンが苦しそうにもがく。
「ん、なんで…がはっ、」
涙があふれた目、口からたれる唾液、真っ赤な顔。全てが俺をそそった。
「ジン、ジンはもう俺のものだよね…?」
なぜ、こんな事になったのか。それは少し前。
「バン君、おはよう」
そうやって俺に笑って見せたジン。今日も可愛い。でも。
ジンはアミやカズとばっかり喋る。それを見るたび俺の心が黒いもやもやで覆われていくようだった。
だから。
ジンがもう誰のものにもならないよう、俺だけのものになるよう………こっそりお茶に毒薬を混ぜて飲ませたんだ。
みんな、びっくりするかな。でもさ、ジンったら、俺にすがり付いていい声で鳴くんだ。
苦しそうなジンの声は俺の欲望を掻き立て、ジンがもう俺のものになると確信を持たせた。
ガッ。っとジンの腕を押さえつける。教材室にいる俺たちを見つけることなんて、まずないだろう。
「はぁっ…い、いた…はぁっ…」
ジンの弱弱しい抵抗なんて振りほどいて、俺は無理やり首筋に噛み付いた。か細い悲鳴が上がる。そして服を脱がせようとしたときガラッと扉が開いた。
「!」
誰かが部屋に入ってきた。
「あら?バン、こんな所で何してるのかしら」
アミだよりによってこんな時に。
「助け、て…、は、はぁっ…」
浅く、速い呼吸をしながら、助けを請うジン。アミはそれに気づいたのか慌てて俺をジンから引き離すように腕をつかむ。……。なんだよ。お前らが悪いんだろ。俺の可愛いジンをそそのかすから。
「やめろよ」
「だめよ、バン…こんなことしちゃ…」
隙を見計らってアミがジンの腕をつかんだ。そしてその腕をひっぱり、アミがジンを抱えている状況だ。
「ジンは俺のだ!」
俺は、無性にいらだってきた。何でこんなやつに邪魔されなきゃいけないんだ。
今にも意識が飛んで、俺のものになりかけたジンを。アミは連れ去った。
でも俺は追いかけなかった。だって、もうすぐジンは俺のものになるってわかってたから。
「さ、急がないと…ジンを入れるケースを作らなきゃ」
早く俺のものになって。なってよ。ねぇ。