TEXT3

□違和感
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ずっと思ってた。何かが違う。って。

「君さ…目黒じゃないよね」

「えっ?」

見た目は目黒。髪型も声も喋り方も。でもなにかが違う。その微妙な変化に今気づいたんだ。

「黒木…だよね」

「何を言うんだ灰原ユウヤ」

「だって。目黒は…こんな戦い方しないよ」

ずっと会ってはいたが、久しぶりに目黒と戦ってみたら一気にスタイルが変わっていて、違和感の原因がわかった。これは…目黒じゃない。黒木だって。

「なんでこんな事…」

「……」

「ねぇ目黒は?目黒はどこに行ったの?」

「……」

「ねぇったら」

「うるさい!!」

見た目は目黒の黒木が叫んだ。僕はすこしたじろぐ。なんだ。なにがあったんだ。ふざけてはいけない空気が走る。

「目黒はもういない…」

「え?」

「いないんだ…!」

なんで。いないってどういうこと…。何だろう。怖い。知りたくないような気がする。否、知ってはいけないような気がする。

「………半年前に…事故で…」

「黒、木…」

声が震える。事故って、なんで。だから黒木は目黒の恰好をしているのか?忘れないために、自分への罰として。

「なんで目黒なんだ、私は悲しくて、もう、どうしようもなくて、それで、」

ポロポロと涙が黒木の頬をつたっては落ちた。僕は思わず黒木を抱きしめる。小さな黒木がしゃくりあげて、嗚咽を洩らすのを背中をさすって落ち着かせてあげる。

「灰原、ユウヤ…っ…」

「僕さ、成長したんだよ…もう普通の人間になれたんだ」

だから。だからさ、

「こうして黒木を守ってあげれる…黒木は黒木なんだから目黒にならなくていいんだよ」

「…ユウ、ヤ…」

まだとまらない涙と、優しい笑顔で「ありがとう」と言われ、僕はまた黒木を抱きしめた。ポタポタと肩が濡れていくのは気にしないで黒木の頭を撫でた。



Fin.

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