TEXT3
□せめて遠くから見させて
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「好きだよ」
「僕も」
バンさんとジンさん。目を離すとずっといちゃいちゃ。しってますよ。二人が愛し合っていることも。あの夜のことも。
「なんで…」
なんで僕じゃないんだろう。もっと、ジンさんより早くバンさんに出会っていたら、結果はかわったのかな。
バンさんが僕を選んで、そんな未来があったのかな。それともバンさんのジンさんへの気持ちは揺らがないのかな。
「…っ」
もうやめよう。と歩きだして誰かとぶつかった。誰かと思えばユウヤさんで。
「あ、ヒロ君…」
「ユウヤさん…」
しってますよ。ユウヤさんがジンさんに恋心を抱いているのを。僕達似たものどうしなんです。
「ユウヤさん、僕はバンさんが好きです。だから」
「うん。しってるよ。僕もジン君が好き」
「でもだからこそ幸せになって欲しいんです」
「そうだよね。僕もだよ…」
僕達二人であの二人を引き裂いて、自分のものにすればいいかもしれない。でもそれじゃあバンさんは幸せじゃないよね。ユウヤさんだってジンさんが幸せじゃないのは嫌だと思う。だから。せめて。遠くから見させて。
Fin.