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□君への愛情100%
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「だから私達は日々騙されてるのです」
家庭科の先生が市販のジュースを持ってそう言った。確かにそうだなぁ。あ、でも今日買ったオレンジジュースは果汁100%だった気がする。
「それでは今日はこれで終わります」
家庭科の先生がそう言うと学級委員長が終礼を始めた。
「きりーつ気をつけー礼」
挨拶をして教室が一気にざわつく。みんなジュースの話しをしている。それもそうか。俺達は化学物質を飲んでるわけだしね。
「バン君」
「あ、ジン!びっくりだね!俺オレンジジュース好きなのに
「うん」
「これからは果汁100%のを買うよ」
「そうだね」
かばんからオレンジジュースを取り出す。ジンもそれを見た。あー美味しそう。
「バン君は本当にオレンジジュースが好きだね」
「だって美味しいよ?」
ジンはジュースとかあんまり飲まないイメージ。だけどオレンジジュースも美味しいんだよ。って教えてあげたくてジンにペットボトルを差し出した。
「?」
「飲んでみたら?美味しいよ」
「うん、ありがと」
ジンはそれを受け取って一口飲んだ。ジンからオレンジジュースの匂いがする。
「ね?」
「美味しい…なんだかバン君の味がする」
「今キスしたら本当にそうだね」
なんて冗談を吐いてみたらジンが笑って、ほんのり頬を染めたから可愛いなぁって思った。
「あ、」
「え?」
「これ、間接キスだね」
「っ!」
「はは、ジン、顔真っ赤」
「だ…からバン君の味がしたのかも…」
「!…もう、可愛いんだから」
オレンジジュースも100%だけど、俺からジンへの愛情も100%だよ。
Fin.