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□割れ物注意
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ただ、本当に本当にお腹がすいて、朝テレビで見たキャラメル綿菓子が食べたくて、暑くて思考回路がショート寸前で、手を伸ばした。
手を伸ばして、引っつかんで、勢いよくかぶりついた。変な味がする。もじゃもじゃ。ぶつかった鼻と顎が痛い。あれ、これはキャラメル綿菓子じゃないのかな。

「…あれ?」

「バン!何すんだよ」

「カズ…」

一気に覚醒した。ふわふわ綿菓子だと思ったのはカズの髪の毛で。どうりで変な味だと思った。整髪料が着いていたのだから。

「綿菓子かと思った…」

「はぁ!?どうしたんだよ大丈夫か?」

「うん、今ので目が覚めた」

悪かったな天パで!なんてカズが言うからストレートだったら逆に気持ち悪いと言ってやるとカズが怒りながら笑った。

「くらえ!水風船攻撃!」

いつのまに用意したのかカズが水風船を投げてきた。それを避けると地面に当たった水風船は割れた。

「狡いぞ!」

「バンにもやるよ!」

まだ水の入ってない風船を渡してくれた。ありがとうと言おうとカズの方を向き直すとびしゃり。見事に俺の顔に水風船がHitした。

「やったな!」

水に濡れて涼しくなって、カズにも水風船をぶつけて、通り掛かりのリュウにもぶつけた。お腹すいてたのなんてわすれちゃった。

「バン!俺も入れてよ」

「いいよ!リュウ早く」

そのあと郷田も現れて雪合戦ならぬ水合戦。暑い夏にはこれくらいがちょうどいい。ばしゃばしゃと水風船を投げ合って、いつしか風船がそこをついた。

「買いに行く?すぐそこだけど」

「うん!」

沢山買い溜めして郷田とリュウとカズと俺でまた投げあう。普段はうるさい蝉の声も聞こえないくらい熱中した。

「バン!何やってるの!」

声をかけられたから振り返ってみるとランとユウヤとヒロとジェシカ。楽しいよ。と誘って、みんなが来たところを水風船を投げつける。するとランとジェシカに火がついたようで、参戦。そしてランとジェシカに強制的に参加させられた二人とともに水合戦再開。

「おりゃぁあ!」

防水だから水没はしないけど、転んで割れたりしたら嫌だからとCCMとLBXは日陰に集めてある。盗られたりはしないだろうけどたまにそっちを見る。するとランに水風船をぶつけられてすぐになげかえす。

「はぁっ…はぁっ…」

「ちょっと休憩…」

日陰にびしょびしょのままみんなで座る。あー疲れた。濡れてるし日陰だしここは涼しいなぁ。

「みんな!何やってるの?」

あ、アミの声だ。振り向くとアミとジンと仙道が立っていた。

「水合戦…やる?」

「はぁ?」

「逃げんのか?仙道」

「…誰が逃げるって?うけてたつ!」

タロットカードとCCMとLBXをみんなと同じ所において、仙道と郷田が駆け出した。アミもポーチを置いて参戦を決意したみたい。頭脳派だからきっと強いぞ。

「ジンは?」

「僕は…」

「やろうよ。楽しいよ」

「わかった。負けないぞ」

「こっちこそ!」

休憩終わり!って言ってももうみんな投げあってるけど。ジンの手を引いて日なたに駆け出した。


Fin.

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