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□ダウトにダウト
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バン君は友達の前で僕に見せない笑顔を見せ、明るく話を盛り上げて、まるで正反対のような接し方をする。
「ジン、先帰るね」
「…あ、うん…じゃあね」
「バイバイ」
また今日も聞けなかった。明日は必ず聞こう。バン君はなぜ僕にだけ冷たいのだろうか。なぜみんなの前で見せる笑顔を見せてくれないのだろうか。
そして翌日。いつも通り一日が流れていく。
「バ、バン君…」
「なに?」
「え、いや…そのあの…」
「用がないなら話しかけないでよ」
「ごめん…」
そう言うとバン君は僕に背中を向け、LBXバトルしようよ!と他のクラスの友達と楽しそうに話している。
「………」
嫌われた。そう思って胸が痛くなった。なんだかここにいるのが辛くなって教室を出た。
また真相を聞けないまま一日が終わろうとしている。はやく聞いてしまわないと。
「バン君…今日一緒に帰ってくれないか?」
「え?……いいよ」
「ありがとう」
すごく怪訝そうな顔をされたが了承の返事を貰って一安心。帰りにはちゃんと聞かなくちゃ。
「授業するぞー席つけー」
「はーい」
先生が入ってきて授業が始まる。これが終われば聞くことが出来る。
そしてチャイムがなり終わりの挨拶をしてみんながぞろぞろと帰っていく。僕も手早く用意をしてバン君に声をかけた。
「バン君…帰ろう」
「…うん」
帰り道バン君は終始無言。すごく気まずいが聞かないと僕も納得出来ないし、聞かないことはできなかった。
「ねえ、バン君」
足を止めてバン君に呼び掛ける。バン君は何だよ。とでも言いたげな顔をして足を止めた。そしてこちらを向くと口を開いた。
「なに?」
「最近…さ、冷たくない?僕の事嫌いになった?」
自分でもウザったいやつだと思う。でも聞かないとこれ以上にウザったいやつになってしまう。
「別に」
「じゃあ…」
「そんなことよりジン、俺と付き合ってよ」
「え?」
このタイミングでなぜそれを言われた。とか。話を変えられた。とか。なにもかも想定外で頭が混乱した。
「俺、ジンの事好き。だからちょっと虐めてみたくなったんだ、ごめんね」
好きな子に意地悪したくなる。あれだよ?とか笑いながら言うけど目は一つも笑ってない。
「バン、君…それ、本気で言ってるの?」
「そうだよ?それともジンは俺の事嫌い?」
疑いに嘘の疑いを。
(好きだなんて嘘。ただ面白かったから。)
(信じた僕が馬鹿だった。)