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□あんな夢をみるなんて
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目の前で血飛沫をあげた。まだ耳にははっきりと銃声がこびりついている。そして少しの間呻いて、ジンは動かなくなった。
「ジン…」
撃たれた。それはわかる。でも身体が反応しない。まるで石になったかのようにジンを見下ろして声をかけることしか出来ない。
「大丈夫?死んじゃったの?」
ジンからはまだ鮮血がどろどろと溢れている。鼻に血生臭い鉄の匂いが突き刺さる。
「返事してよジン」
痛かった?痛かったよね。それはもう耐え切れないような痛みだっただろうね。ああ可哀相。だからそんなに眉値を寄せて難しい顔をしてるのかな。
「ジン、_________。」
パッと目を開ける。俺の横では目覚まし時計がうるさく鳴り響いている。それを止めると服を着替えた。
「夢、か…」
嫌な夢を見たものだ。ジンが死ぬ夢だなんて。そんなことを考えていたが母さんが下で呼んでいる事に気づき慌てて下へ降りた。
「バン、今日はジン君の誕生日でしょ?プレゼントは用意したの?」
「ああ、うん。おそろいのストラップ。CCMに付けてもらうんだ」
「あら、いいわね」
そうだ。今日はジンの誕生日だ。そんな日にあんな夢を見るなんて。もうその事は忘れよう。きっと昨日は0時にメールを送ろうと夜更かししたからそんな夢を見たんだ。
「じゃあ行ってきます」
「いってらっしゃい」
朝食後用意を済ませ学校に向かう。教室で会ったら一番におめでとうと言ってやろう。
「あ、カズ!おはよう」
「バン!」
途中でカズに出くわして、二人で学校に向かう。教室の前で別れるとカズは自分の教室に入って行った。それを見て俺も教室に入る。
「あ、バン君おは…」
「ジン、誕生日おめでとう」
「ありがとう」
「これ貰ってくれる?」
「え、いいの?」
プレゼントとして用意したペアストラップを渡す。ジンも案外気に入ってくれたようだ。
「CCMにつけるよ」
「俺も!」
「おそろい。だね」
「うん!」
その後も談笑をしていたが、先生が入ってきて授業が始まる。最初はなんともなかったのだが、だんだんとあの夢が気になりはじめた。
さっき笑っていたジンが銃で撃たれて苦しげにもがいて死ぬ夢。なぜだかゾワリと悪寒が走った。
そういえば、最後に俺は何て言ったんだっけ。
「ジン、_________。」
確かにそう言った。でも何て言った?確か、俺が伝えたいこと。もう伝えたような気もするけど。一体何だっけ。
(ジン、HAPPY BIRTHDAY)
Fin.