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□オレンジジュースの匂い
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バン君の好きな飲み物はオレンジジュース。それは彼にとても似合っているし、何より彼らしい。

「バン君、飲み物は?」

オレンジジュースだとわかっていて聞いてみる。返答はもちろん予想通り。

「オレンジジュースで」

「わかった。オレンジジュースとコーヒーを」

「かしこまりました」

じいやに頼んで持ってきてもらう。バン君と僕は今僕の家で遊んでいる。

「美味しい」

「それはよかった」

僕が作ったわけでもないがバン君が美味しそうに飲むのを見て僕もコーヒーに口を付ける。ミルクも砂糖も落としていないコーヒーは苦かったがそれはそれで美味しいと思った。

「バン君、このあとは何をする?」

「そうだな…」

そう尋ねればバン君が考える。バトルはもうしたし、Lマガももう読んだ。

「まぁこれ飲み終わったらね」

「うん」

その後は雑談をしながらオレンジジュースとコーヒーを飲み干してそれを片付けてもらう。

「何をするんだい?」

「ねぇ、キスしよう?」

「え、っ!ええっ」

思わぬ意見が返ってきて戸惑う。キスだなんて想像しただけで顔が熱くなる。

「だって、俺達付き合ってるんだよ?」

それくらいいいでしょ?と言って僕の肩を持った。心臓が有り得ない速さで脈を打っている。

「や、でもバン君…っ」

「ハグしたのは何ヶ月前?」

そう聞かれて考えてみると思い出せない。そのハグと言っても緊張で何も出来なくてバン君に抱きしめてもらうだけとなったんだが…。

「そろそろ…先に進もうよ」

ね?と言って唇を重ねる。柔らかいバン君の唇が僕の唇と重なって、酷く緊張したが、どこか気持ち良くて、触れるだけの深くないキスなのにそれが甘いものでも食べているかのようだった。

「ジンの唇柔らかいね」

「バ、バン君こそ…」

「可愛い。好きだよ」

次は短くチュッとキスをされてギュッと抱きしめてもらう。僕も好きと耳元で呟いてバン君に腕を回した。

あ、オレンジジュースの匂いがする。

(そういえばキスした時もオレンジジュースの匂いだった)


Fin.

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