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また夜になって、あの時間がやってくる。バン君はあれから勝手にしろとでも言うかのように口を利いてくれなくなった。でも僕にはそのほうが都合がいい。

「今日もジンか」

「お願いします」

明け方に痛みから解放されて、またゲージにつっ込まれる。そんな日が何日も何日も続いた。体にはご主人様のつけた痕が何ヵ所もあって、もう見るに堪えないことになっていた。

「げほっ…」

今日は特別に体調が優れなかった。いつも以上に体が重く、だるい。でもバン君を危険にさらすわけには行かなかった。だから無理をして今日もまたご主人様の性処理…いや、肉便器として夜をすごす。
あれからバン君とはまだ喋れなかった。でも守ることには成功している。これでいいんだ。そう自分に言い聞かせた。

「はぁっ…はぁっ…」

しんどい。起きているのもやっとな感じで。今日の分の仕事が終わってゲージに押し込められると倒れるようにねむった。何日たっても自分でゲージに戻れるような体力を残すことが出来ない。

翌朝、目が覚めた。体が重い。そして動かない。仰向けのまま起き上がることも出来ない。お腹も痛い。ダメだ。もう何にも考えられない。そうやってぼくはまた眠りについた。

「ぅ…ぅん…」

目が覚めた。ゲージから見える部屋の時計は午後5時。長い間眠ってしまっていたみたいだ。でも朝から体調は変わっていない。むしろ悪くなっているような気もする。

「げほっ!げほっ!」

く、苦しい…。体を丸めて耐えてみようとするけど効果はなくて。寒さに耐えることも出来なかった。でも…ここで僕が今日の仕事をサボったら、明日のご飯が…それにバン君がどんなことをされるか。ここで踏ん張らなきゃ。

「ぐ…ぅ…」

「ジン…」

「!」

久しぶりにバン君の声を聞いたような気がした。ゆっくりとバン君のほうを向く。まだ柵にくくりつけたままだ。

「大丈夫?」

久しぶりに喋ったからか少しだけ声が上ずっていた。

「大丈夫…寝てていいよ」

「すごい熱…」

バン君が僕の額に自分の額を当てた。冷たくて気持ちいい…。でもねバン君、君に危険なことさせれないんだよ。

「俺が行く」

「ダメだ!!…ッ…」

「ジン!」

バン君を抑えようとたちあがるけど、すぐに足がガクガクっと震えて崩れ落ちる。もう…ダメだ。死ぬのかな。

「ジン!…大丈夫…俺が絶対なんとかするから」

「ダメ、だ…バンく……」

その時タイミング悪くご主人様が来てバン君が自ら志願した。するとご主人様は始めて相手にするバン君に喜び、バン君を縛っていた僕の服を解いた。そして僕に投げる。ダメだ。バン君、危険だよ。痛いよ?死んじゃうよ?戻っておいでよ。僕が全て受け入れるから。ねぇ…!

「ご主人様、俺が今日仕事を終えたら…ジンに薬を上げてね」

「ジン…?病気なのか?」

「うん。死にそうなんだ」

「分かった…仕事が終わったらな」

バン君、だまされちゃダメだ。その優しさは嘘なんだよ。薬はくれるかもしれないけど、その口調に油断したらダメ。結局酷いことされるんだ。

「さあはじめようか」

「はい…」




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