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□隠し事
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ダックシャトルではジェシカがご飯も作ってくれるし、掃除もなんやかんやでみんなでやれば早く終わる。身の回りの事では何一つ不便はないんだけど…。ただ一つ俺には困ってることがあって…。

「ジン、今いい?」

「バン君、今はダメだ…みんながいるから」

「あ、うんごめん」

何に困ってるかというと、それはジンとの絡みなわけで…。俺たちは付き合ってるわけだし、恋人らしいことはしたい。しかも今回は同じ屋根の下で過ごしてるんだよ!?当然そういうことや、ああいうこともしたいよね。でも周りにはこれから一緒に世界を守っていく仲間がいるわけだし、その中には俺たちよりも年下の奴もいる。そんな中俺たちがのろけるわけにもいかないし…。そんなこんなで1年前よりも全然絡めてない。…いつも時間があるときはこっそり隠れてキスしたりしてるけど、それだけ。そのあとの雰囲気なんてあったもんじゃない。俺はだれにも邪魔されずジンと恋人らしいことがやりたいんだ!…1年前みたいに…。

「ジンー…」

「バン君…でもみんなの前では」

ジンもみんなの前、特に後輩の前ではのろけられないと思っているようで、二人きりになった時しかそういうことはしてくれない。…もうあれらだけ次の国で降ろしてもらおうか。

「ねぇ、もう我慢できない…どこかに隠れてさ…」

「隠れるって…どこに」

「どこでもいいよ。みんなにばれなきゃ」

だってもう我慢できないよ。お風呂上りで少しほてっているジンだなんて。お風呂が終わったら自由時間だからみんなの動きは分からない。だからこそ見つかる可能性は高いが、裏をかいて浴場に行けば誰にも見つからないんじゃないんだろうか。もう誰も来ないだろう。

「ジェシカ、俺たちお風呂洗ってくる」

「え?なんで?」

「拓也さんに言われてるんだ」

「ああそう…よろしくね」

はーい。と返事をしてジンと風呂場に向かう。少し強引過ぎたかな。まぁでも時には嘘が必要だよね。浴場につくと、ジンと中に入る。そして脱衣所の鍵を閉めて誰も入ってこれないようにした。

「やっと二人になれたね」

「うん」

「今じゃ二人になるのも難しいなんてなんだか複雑」

そうだね。とジンが相槌を打ってくれる。
ジンの声を聴くとなんだか落ち着いて、無性に抱きしめたくなった。ギュッと後ろから抱きつく。少し湿った髪からふわりとシャンプーの匂いがした。みんなと一緒のシャンプーだけど、ジンの匂いだって思ったらなんだか少し甘く思えた。

「ジン、いい匂い」

「バン君もせっけんの香りがするよ」

「そうかな」

自分ではわからないものなんだけど。そんなにせっけんの匂いがするのかな。ジンが嫌じゃなかったら別にいいんだけど。
そんな甘い雰囲気に乗せられて首元にキスを落とす。

「ジン…好き」

「バン君…」

ジンも雰囲気に酔っているのか少し頬を赤らめた。あー…いま俺幸せ。というか…改めて見るとジンってきれいだなぁ…。肌もきめ細かいし、きっぱりと別れている髪もサラサラだ。それにこの赤い目。まるでルビーみたいだ。そう思ってくさい台詞だとすこし自嘲気味の笑みが出た。

「キスしよう…?」

「うん…」

ジンの顔に手を沿わせたとき脱衣所の鍵がガチャリッと音を立てた。ドアが勢いよくあく。俺たちの肩が跳ねる。まだ唇はふれあってない。ジンに口開けてと小声でささやく。

「あんたたち鍵かけて何やってんの…?」

ジェシカの変なものを見たような声が聞こえる。そりゃあ変なもの見てるんだと思うよ。なんたって俺がジンの口の中覗いてるんだから。…歯並びきれいだなぁ。ピンクの舌がきれいだ。

「え?ああ口内炎チェック!」

また嘘をついてしまった。

「ふーん…まぁなんでもいいけど…みんなが歯磨きしたいのに扉があかないって怒ってたわよ」

「あ…ごめん」

「わかったならいいわ。早く掃除やっちゃいなさいよ」

そういってジェシカは出て行った。そうだなぁ。言っちゃたんだしまじで掃除はしなきゃ。みんながここに向かってくる足音がする。そろそろどかないと。

「バン君、とりあえず掃除しよう」

「そうだね…」

「続きはそのあと。ね」

「ぇ……うん!!」


fin.

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