TEXT4

□だって気になる
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いつのまにかバンさんを目で追ってて、いつも話しかけるタイミングをうかがってる。でもそれと同時にバンさんの隣にいるジンさんのことも目で追ってて、羨ましくなって結局バンさんとジンさんの間に無理やり入ってしまうんですよね…。

「バンさん!」

「ヒロ?」

「バトルしてくれませんか?」

なんとか僕に意識を向けてほしくて、バンさんの服の袖を引っ張ってみた。でもその行為もむなしくバンさんはあとでね。と言って足早にジンさんとどこかに行ってしまった。ちぇっ。
そのあとジェシカさんに洗濯を手伝ってほしいと言われ手伝って、それが終わったらセンシマンのDVDを見た。あーセンシマンみたいに僕も颯爽とバンさんをジンさんの手から奪い取れたらいいんだけどなぁ…。ジンさん、この16話に出てきた怪獣の呪いで倒れちゃったりしないかな…その呪いを呟いてみて、センシマンはこんなことしないな。と頭を振った。画面に視線を戻す。
ちょうど感動の最終回が終わったところでバンさんとジンさんが向こうから歩いてきた。仲睦まじく肩を寄せ合って。むむっ!と僕のアンテナが動いた気がする。でもよく見るとバンさんがジンさんに肩を貸していて、よろよろと歩いていく。ジンさん…すごくぐったりしてる…足が覚束ないみたいだし…あ、部屋に入ってきた。

「ジン、大丈夫?ごめん、俺…」

「大丈夫、だ…バン君は、悪くないよ」

「ちょっと抑えきれなくて…腰痛いよね」

「大丈夫…僕は、少し休むよ」

ジンさんはそういうと布団をかぶって寝てしまった。もしかして本当に呪いが効いちゃったとか?だったら僕のせいだ…!ジンさんしんどそうだし…。どうしよう…!

「バっ、バンさん!」

「ヒロ?」

なんだかバンさんまで顔色が優れないような気がする。顔がつかれてる。ずっと見ているからよくわかる。なんなんだろう。なにがあったんだろう。

「ジンさん、何があったんですか?」

そう聞くとバンさんの顔がボッと赤くなった。一体何があったんだ。コホン。と咳払いをしてからすこし上ずった声で答えてくれた。

「あ、いや、ジンは酔っただけだよ」

「そうなんですか?でも腰って…」

「え!?あ、あれは尻餅ついた時にうったんだって」

そうなんですか…。よかった。僕のせいじゃないみたいだ。ジンさんも大変だなぁ。でもよく考えたら今僕はバンさんと二人きりじゃないか。今のうちにバンさんと遊んでおこうかな。

「バンさん、バトルしませんか?」

「ああ、いいよ」

バンさんがサッとエルシオンを取り出した。僕もペルセウスを取り出す。でもここじゃジンさんに迷惑になると言って部屋を変えた。なんだか久しぶりにバンさんと二人になれたなぁ。

「いきますよ!!」

「ああ!」

Dキューブの中でペルセウスとバンさんのエルシオンがぶつかり合う。ああこの感じ!バンさんといたらこのスリルに似たこの感じが味わえる。だから一緒にいたいんだ。だからバンさんとジンさんが一緒にいたら焼きもちを焼くし、邪魔したいって思ってしまうこともある。センシマンはそんなことしなかったけど、僕はまだ未熟だから。そう言って言い訳する。少しくらいいいかななんて。

そして翌日。
ジンさんの体調が戻ってきて、朝食の席に顔を出した。その時のバンさんったら…昨日は少しくらい邪魔してもいいかもなんて思ったけど、これはもう普通に邪魔してもいいですよね。

「バンさーん」


fin.

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