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□どうして
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今日はジンさんの後をつけてたら、ジンさんは僕の誕生日プレゼントを買ってくれてるところに遭遇しました。嬉しすぎてその場でガッツポーズしちゃいましたよ。そのあとジンさんは今日の買い出し当番だから食材を買ってNICSに戻ってきました。ああいつ痴漢されるか心配でしたよ。今日のジンさんは黒のボクサーパンツですからね!白い染みがついたら目立っちゃいますしね!
「ジンさん!」
「あ、ヒロ…僕のメガネ知らないか…?」
あ、それ僕が昨日から借りてます(無断で)とは言い出せず、さぁ…一緒に探しましょうか。と言うしかなかった。後でばれないように返しておこう…。
「ジンさん、先にご飯食べません?」
「ああそうかもうこんな時間か…」
そう言ってジンさんとジェシカさんのところへ向かった。そのあとは普通にご飯を食べて、ジェシカさんがジンさんに話をしている間に僕はメガネを返す。これで一安心だ。そう思ってジンさんのベッドを見たらジンさんの…これはグリス?これにいつもジンさんが指を入れていたと思えば…今日はこれを借りよう…(無断で)
「ヒロー…」
「へっあぁ!?ジンさん!?」
「どうした?」
「いえ!」
「そうか……」
危ない危ない…ばれたら一大事だ…。そっとポケットに忍ばせて、ジンさんに笑顔を向ける。僕もいつかはジンさんの使用済みパンツを借りよう(無断で)…!そうしたら新しいパンツを買ってきてそれをジンさんに渡そう…それでジンさんのパンツはぼくの家宝にしよう…きっと。
「僕は今から出かけるが…」
「え、どこ行くんですか?」
「買い物だ。ジェシカに頼まれたからな」
「わかりました!」
またストーカーをしようかと思ったけどジンさんのグリスをはやく使いたくて今回は諦めることにした。ジンさんが部屋を出てから僕はすぐにグリスの蓋を取った。ぬるぬるがきらいなジンさんもグリスは触れるんだ。
side ジン
最近よく僕の私物がなくなる。それは眼鏡であったり本であったり様々だけど、その犯人が知りたくて少し離れた所で見張っていたら、犯人はまさかのヒロだった。僕はヒロと付き合っているし、貸してほしいなら貸してと言えばいい話しだ。なのに、なぜ。僕はヒロに嫌われてしまったのだろうか。
「はぁ…」
さっきも何かしてたみたいだし…。買い出しに行きながら考えを巡らせる。ベッドの上に置いていたものと言えば……ああグリスか。ヒロも自分のを持っているくせになぜ。僕はそこに何の意図があるのかさっぱりわからず、ただ嫌われたのかと僕は肩を落とした。
その後ジェシカに頼まれたものをすべて買って帰路につく。重い袋を持ちながらどうすればまたヒロに好きだと言ってもらえるかを考えた。
「ああジン!ありがとう」
「いやいいんだ」
ジェシカがキッチンで僕の帰りを待っていたようだ。材料を袋から取り出して手渡していく。使わないものは冷蔵庫に入れて、ジェシカが上機嫌で調理していくのを見た。
「ジン?」
「ああ、きょうの献立は?」
「シチューよ!得意分野だから楽しみにしてて!」
「ああわかった」
そういわれて僕はキッチンから出た。どこに行こうか、そう考えて一番に浮かんだのはヒロのところだったが、嫌われてるかもしれないと考えたら行くに行けなくなってしまって、しぶしぶ寝室に戻った。
「ジン!おかえり」
「ああバンくん」
寝室に帰ればバンくんがいて、ヒロとのことを相談する。バンくんは親身になって聞いてくれていたが、なぜか途中で笑い出してしまった。一体何が起こったんだろう。僕は真剣に悩んでいるというのに。
「ジン、それ、ヒロにちゃんと聞いた方がいいよ」
「ちょ、バンくっ…!」
待ってくれ。そういう前にバンくんは大笑いして部屋を出て行ってしまった。バンくんたら僕の気も知らないで…。
side バン
ジンから相談があると言われて、深刻そうな顔だったからなんだろうと聞いていたら、ヒロに嫌われたかもしれない?
なんで?と聞いてみたら、ジンは最近僕のものを無断で取っていたりして…僕のことが嫌いだからそんなことするんじゃないかって…。それは…説明する前に笑いがこみあげてきて、どうしようもなくなったから、本人に聞いてと部屋を出た。
「あ、はっは…はぁ…」
本当におかしいよあの二人。だって昨日にはヒロに相談されたんだから。「ジンさんが好きすぎて私物を勝手に借りちゃうんです!!どうしたらいいんですかバンさーーん!!」そう言って俺の服をつかんでゆすられたものだからあの時はさすがにあせったよ。
「あ、ヒロ!ジンが呼んでたよ」
「え!?ジンさんがですか!?わかりました!ありがとうございます」
ヒロにそう言って(キューピッドバン様だ!!)俺はジェシカのもとに向かう。今いったらシチューの味見させてくれるだろうし。ほんと俺って優しいなぁ…自分でそう思うよ…。
「あ、ジェシカ、味見させてー」
「もうバンったらまたー?」
「ねぇ聞いてよジンとヒロったらさ――…」
その時寝室から二人の驚きの声が聞こえたから誤解は解けたんだろう。あー…面白いなぁあの二人。変なところで戸惑うんだから。
fin.