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□入れ替わったぞ
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「あーーーー!」

ジンがそう叫んだのを聞いて女子やコブラたちが何事だと部屋に入ってきた。普段物静かなジンが叫んだとあれば大変なことがあったに違いないとみんなは血相を変えて飛び込んできたもんだから面白い。

「どうした!?なにがあった!」

「な、なんで僕の前に…僕が…?」

ジン…僕がいるんですかぁ!?くらいオーバーリアクションの方がよかったかも…あとで言っておこう。でもジンがそんなキャラになったかと思うと思わず口元が緩んだ。

「何言ってるんだジン?」

「僕はジンさんじゃないです!大空ヒロです」

「はぁ!?」

そっちこそ何言ってるんだという目でみんながジンを見つめる。そろそろ俺の番かな?おれが顎に手を当てて極めてジンらしく中身が入れ替わったのかもしれないな…なんてつぶやいてみる。

「え?バン!?どうしたの」

「そういうことか!」

ユウヤが俺っぽく手を打った。そうすればヒロがふわふわしたユウヤっぽく誰が誰だかわからないねー。なんて言う。みんなもこれには驚いたらしく、俺たちはブリーフィングルームに集まることになった。これはうまくいったな…。

「で、これは何の冗談だ?」

「冗談じゃないんです。本当に入れ替わってるみたいで」

ユウヤが説明する。ユウヤは演技うまいなぁ…俺が俺に似てるって思うくらい俺の演技がうまいんだもん…。それに比べてジンは…。いや、なにもいうまい。

「そんなことが本当に起きるんだな…」

「まぁきっと戻りますよ!」

ジンがヒロっぽく拓也さんに言う。今のはちょっとよかったかも。拓也さんも普段のジンがこんな話し方をわざとするとは思わないらしく、信じてくれたみたいだ。

「じゃあ、整理しようか」

今バンの体に入ってるのは誰だ?と聞かれて俺は海道ジンだ。と答えた。そして順番にジンはヒロ、ユウヤは俺、ヒロはユウヤと答えていく。みんなも最初は半信半疑だったもののこうなってしまえばしょうがないと真剣に話を聞いている。ほんと、おもしろい。

「あー…もう、今日はオフにするからお前ら解決策を全力で考えてくれ」

「え!オフ!?いいの!?」

「ああ、戻るまでは動けないからな…」

そうして今日はオフになった。なんだか罪悪感を感じたけど、オフに変わりはない。毎日が忙しいから休日というものは嬉しい。俺たちはすぐに男子部屋に飛び込んだ。みんなこがにやけているのは楽しいからだろうか。

「どうだった?」

「大成功だね!」

「面白いですね!」

オフだからみんなの前に出てリスクを冒さなくてもいいわけだけど、どうしよっかな。まぁジンの演技力の問題だけど…。

「これからどうする?」

「楽しいからずっとやってても問題ないですねー」

「でもいつかは戻らないといけない」

そうだなぁ…。俺も楽しいし、もう少しこのままでいてもいいけど、長く演じれば演じるほどぼろが出る。バレた時のみんなの怒りを考えたら今から体が震えそうだ。問題はいつ、どうやって元に戻るかだ。できれば今日か…少なくとも明日くらいが潮時だろう。さぁ、一体どうしようか。

「いつ戻るの?」

ユウヤが率直な疑問を上げる。やっぱりみんなも考えることは同じか。俺も今考えてたんだ。という。ジンもその話に乗ってくれた。

「今日の夜寝たら戻ってました!ってのはどうですか?」

「まぁ無難だな」

今日の夜まで解決できなかったら、それにしようと決め、ほかにどうするかを話し合った。LBXでバトルをしていたら急に苦しみ始めて元に戻るというのは丁寧に却下しておいた。ユウヤの過去もあるし、第一ジンにそんな演技ができるとは思えない。

「LBXバトルっていうのはいいと思うけどなぁ…」

「やっぱり寝て戻る方がいいんじゃないのか?」

「そうですね…」

でもちょっと待って。寝るってことはジンはヒロの寝言と寝相を真似しないといけないし、ヒロは我慢しいないといけない。これってかなり難しくないか?徹夜すればいい話だけど、明日は今日のようにオフとはいかないだろうから、きっと体力が底をついてしまうだろう。

「やっぱりそれも難しいかもしれない」

「あ、寝相?」

「うん」

当の本人たちは疑問符を頭に浮かべていたが、ユウヤは俺の考えていることがわかったらしい。常識人がいてくれて助かるよ…。さて、またどうやってもどるかの話が振り出しに戻ったわけだけど、こう誰にもばれないで、スパッと…。

「もう少し遊んでからにしない?」

「え?ああいいけど…」

「じゃあ僕ジェシカくんのところに行ってくるよー」

「ユウヤ!くれぐれも俺だからな…?」

「わかってるー」

なんだか、ユウヤ。本当に楽しいのかテンション高いけど…大丈夫かな。バレたりしないかな…。そんなことを考えていたらヒロが僕もランさんのところに行ってきます!と意気揚々と部屋を出ていってしまった。ヒロは今ユウヤなのを覚えているんだろうか。

「行っちゃったね…」

「そうだな…僕たちはどうやって戻るか考えようか」

「そうだね」

こう、気づいたら戻ってました…みたいな…。無理な演技はせず…難しいな…。ジンの考えこむ顔を見て、頭のいいジンでも考えつかないか…と肩を落とす。なんだかさっきまで聞こえなかったランの声が聞こえる。ヒロと楽しんでいるのだろうか。会話までは聞こえないが…。

「ジンー…あ、ヒロか」

からかうように笑うと、ジンは苦笑いして、今もヒロかい?といった。俺は今ジンだからね。コホンと咳払いして、俺は「ヒロ、バンくんと仲良くしなくていいのか?」というと、ジンは少し目を開いて、ニッと笑うと「バンさぁん…」と言ってから少し顔を赤くしてうつむいてしまった。でも、目はあったまま。要するに上目遣いになってるから俺は心臓バクバク!

「ちょっ可愛い!ジン可愛い」

「バンくん…僕は自分のこと可愛いだなんて言わないさ」

「そうじゃなくて!もう…ジンー」

「ちょっとバンく…」

ん。ジンが言ったのと同時に、ジェシカの叫び声が聞こえた。何かあったんだろうか。ユウヤが何かやらかしたか……ユウヤが…なにか…??……あ。

「バンくん…まさか…」

「ああ、バレたんじゃ…」

ジンと顔を見合わせる。これは…やばい…。そういえばランの声もさっきより大きくなっている。これは…ヒロもやらかしたのかもしれない…。

「ちょっと!バン!?」

「これ、どういうこと!!?」

片手に目を回したユウヤとヒロを持ちながら部屋に飛び込んできたのはジェシカとランだ。俺たちはあっという間に壁際に追い詰められる。騒ぎを聞いてコブラたちもやってきたものだからこれはもう白状するしかない。

「ヒロはユウヤだって聞いてたのに!いつもの戦い方じゃないから気になって!そしたら…」

「こっちもよ!口調はバンなのにやることなすこと全てがユウヤなの!」

「バン!ジン!あんた達何隠してるの!?」

すごい剣幕…女の子って怖いなぁ…。いや、そんなこと考えている場合じゃない。コブラも黙ってその話を聞いている。ああもうどうしようか。殴られるかな?いや、殴られるだけじゃすまないかもしれない。そう考えたのはジンも同じらしく、俺と同じくらい冷や汗をかいている。

「その…ね?ジン…」

「え?あ、ああ…そうだな…」

「すみません!ドッキリしようとしました!」

「そして悪乗りした!すまな…!!」

バキッ!バチン!そんな音が二つ響いた。最初のはランが俺に。もう一つはジェシカがジンをひっぱたいた音。俺たちはへなへなとその場に崩れる。

「コブラ!どうする?」

「あー…ちょっとでも特訓しないといけないのにオフにしたんだからな…ヒロは年下だからまぁいい…ユウヤもコテンパンにやられてるし…」

ま…まさか…。俺たちだけ…?

「罰として!バン!ジン!お前たちは晩飯まで外を走ってろ!!」

「えーーー!?」

ジンはポカンとしてしまっている。なんで俺たちだけ…。確かに年下だよヒロは!ユウヤ……目を向けた瞬間早く行かないと俺もああなってしまうと思い立ち上がった。ジンの手を引っ張る。早くこの場から立ち去ろう…晩御飯の時には誠心誠意謝ろう…

「ジン…早くここから…逃げよう…」

「ああ…ランニング…しよう」





(ドッキリ大失敗!!)


fin.

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