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□ライト&ナイト2
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“ライト&ナイトU”
「くいと先輩、クリスマス、終わっちゃいましたねー」
「そうだね。僕が絵に集中してる間に24日も25日も過ぎてたね。」
テキトーに返事しながらも僕の心の中は冷や汗ダラダラものだった。
今までのオンナだったら、イベントにこだわらないような手のかからないーーーつまり、どうでもいいヤツらばっかりだった。
でも緋彗は違う。
まず僕がどれだけ絵で賞を採ったところでイマイチ理解しない。
コレは最初かなり戸惑った。緋彗にとって『本条杭鋳途』と『くいと先輩』は別物らしい。
彼女曰く、ファーストコンタクトがまずかったらしい。
名前を教えた僕は親切な先輩、という枠であったのに対して
絵を描く本条杭鋳途はオンナに手が早いらしい、すごい絵を書く人。
僕が思うにファーストコンタクトの後も名無しの先輩として接してたのも悪かったんだろう。
僕の取りまきであったおんな達がバラすまで緋彗は僕が本条杭鋳途であるなんて微塵も考えてなかったんだから、別人扱いになるのは仕方がない。…多分
とにかく、緋彗は僕にとって特別な女の子、だ。
いまいち信じてもらえてないけど。
遊びだと思われてるっぽいけど。
…たまに思うのは、
何で緋彗は僕と付き合ってるんだろうってこと。
ぼんやりしてる翡翠のことだから、何時の間にか、
何か流されちゃって
とか言い出しそうで。
…いや、無いとはわかってる。
でも、僕にとって緋彗は初めての特別だから。
確認するのが少し、怖い。
「くいと先輩、聞いていいですか?」
「…何を?」
そういいながらまた言われるのかな、と思った。
面倒じゃないオンナとばかり関係を持った僕だけど、だからといって修羅場を体験したことがないわけじゃないし、あの言葉をぶつけられたことがない訳でもない。
「…先輩は」
絵と私どっちが大切ですか?って?
お願いだからそんなこと言わないでくれ、
そうしたら僕は
僕は
ーーーーーー
ーーーー
ーー
「…っ」
「夢?」
思わずポツリと呟いた。
今日は26日で。
緋彗と連絡を取らなくなって1週間。
「…メールでもしようかな」
“to緋彗
from杭鋳途
件名 無題
お腹空いた”
“toくいと先輩
from緋彗
件名 re:作りに行きましょうか?
描き終わったんですか?
お疲れさまです( ´ ▽ ` )ノ”
“to緋彗
from杭鋳途
件名 re:re:無題
鍵はあいてる”
数分後、ガチャガチャ音が聞こえて緋彗が顔を出した。
「…はよ。」
「もう昼ですよ?」
困ったように笑う彼女は寒かったのか鼻を真っ赤にしていた。
…きっと。
緋彗のえがおを見ると暖かくなるこの心が
恋心
ってやつなんだと思う。
「緋彗ー。」
「何ですか?」
「好きなんだけど、どうしたらいいと思う?」
「…!」
とりあえず
キス、させてください。