♪Dream-short-♪

□ビター?orスイート?
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女の子にとって、最大のイベント…―
思いよ、君に届け。


ビター?orスイート?


2月14日。
そう…今日はバレンタインデーである。

今では、友チョコがあったりと、男の子と女の子だけの特別な日ではなくなってしまっているけど…

でもやっぱり、乙女な女の子には特別な日だ。

私もその1人である。

「黒姫!」

『ん?』

「さっきの時間さ、先生の顔見て吹きそうになっちゃった!」

『え?何?何?教えて!』

「黒姫の席からじゃ、見えないかもしれないけど、先生の口の端に白い汚れがついてたんだよ。」

『白い汚れ?確かに見えなかった。』

「あれ、絶対ヨダレの後だよ!気が付いてないのかな?はは!」

『確かに笑える!あはは!』

凄くくだらない話…
彼…鏡音レン君は、この学校でも1、2を争うほど人気。
私とはクラスメートなだけなんだけど、よくこうやって話しかけて来てくれる。

私の好きな人…
それはこの目の前の人、鏡音レン君です。

「鏡音〜!呼び出し!」

クラスの男子から声がかかる。


「ん、わかった。サンキュー!ごめん、行ってくる。」

『うん。』

手を振りながら出て行くレン君に応えるために、私も手を振って見送る。

(はぁ…これで15回目…)

数えてる私って、ちょっと危ない人だわ…
なんて思いつつ、鞄(かばん)を開ける。

そこには、可愛くラッピングされたチョコが入っている。

(渡さないと…いけないんだけど…)

別に渡さなきゃ“いけない”わけじゃない。レン君が欲しいと言ってくれたんじゃないし、何の義務もない…。

ただ…

私が臆病(おくびょう)なだけ…

「何、暗い顔してるの?」

『リン…』

「はは〜ん!その様子だと、レンには渡せてないな?」

『うん…』

レン君の双子の姉、鏡音リン。私とは親友で、よく2人で遊んだり、悩みを打ち明けたりと…本当に仲良し。

実はレン君に恋に落ちたのは、初めてリンの家で遊んだ時。
一目惚(ひとめぼ)れでした…///


「渡しなよ!早く!」

『無理っ!』

「渡せ!」

『無理!』

ムムム…と2人で睨(にら)み合う。
そしてどちらともなく脱力〜…

『渡したいんだけど…タイミングが…ねー。』


「そんな事言ってたら、いつまでも渡せないよ?」

『やっぱり、リンから渡してよ〜…』

「だから、ダメ!自分で渡して!」

この会話は昨日の夜にしつこいほどしたけど…
懲(こ)りずにまたやってます…
だって…
告白した後のレン君の顔、見たくないんだもん…

「あれ?黒姫、どうしたの?机に突っ伏して。」

『えっ!…なんでもない!』


レン君が戻って来ました。
その手にはチョコ。

「また貰ったの?…モテる奴は大変ね…」

「別に…」

『全部食べるの?』

「一気には無理だから、ちょっとずつかな。」

『そっか。』

「レン。アタシ、今日は用事あるから、黒姫を家まで送ってって!」

「わかった。」

リンが私にウィンクする。

(そういうことか…)

一気に放課後が来るのが怖くなった…


そして、放課後があっという間に訪れた。

(う〜…どうしよう…)

緊張し過ぎて、心臓が痛い…

「黒姫?行くよ?」

『あ…うん…』

そうして2人で教室を出た。


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