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□お前は愚かだ
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※お下品な言葉が飛び交っております、ご注意ください

























「なまえ」


優しく囁かれた声に、私の子宮がキュンと疼く。甘く、低く、首筋を這った響きの持ち主は後ろからそっと私を抱き締めた。


「リドル…」
「ねえなまえ、今夜部屋においでよ」


体が震える。再び子宮が疼いて、思わず腹部を両手で押さえた。

リドルの細くて綺麗な髪が、私の肩でさらさらと揺れている。


私は、リドルの彼女。ということになっていた。


でも私は、リドルが毎晩違う女と寝ていることを知っている。昨日はスリザリンのマリーとかいう女を抱いたことも知っている。

でも私はそれを咎める気はないし、そもそも咎めるなんてできるはずがない。リドルは平凡な私にとって雲の上の存在だし、そんな彼と何回もセックスしているということが信じられないくらいだった。

じゃあまた夜に、そう言うとリドルは私から離れ、額にキスをする。性的な意味をまったく感じさせない優しいキスに私が目を細めると、彼は甘く微笑んで教室から出ていった。

しばらく惚けて突っ立っていた私は、雨が窓を強く打つ音に我に帰り、慌てて教科書をかき集めて教室を後にする。次は確か授業がなかったはずだから、一度寮に戻ろうか…そんなことを考えながら足早に廊下を歩いていると、キンキンとした不快な声に後ろから呼び止められた。


「あんた、グリフィンドールのみょうじね?」


仕方なく振り向くと、そこに立っていたのはスリザリンのマリーと金魚の糞の女たち。ひどく高圧的にこちらを睨んできている辺り、あまり楽しい話ではなさそうだ。


「…なにか御用?私暇じゃないんだけど」

「ちょっと話があるのよ。トムのことで」


その言葉を聞いて、私は思わず口角を上げる。マリーは怪訝そうな顔をしたが、すぐに「着いてきなさい」と言い歩き出した。
何様のつもりだゴラァと思いつつも素直に彼女たちに着いていくと、しばらく前から使われていない空き教室に連れ込まれる。なんだ、私をフルボッコにするつもりか。


「あなた、トムと付き合ってるって本当?」
「まあ、そうですけど…」


机の上に腰かけてこっちを見下ろしてくるマリーに正直とてもムカついたが、グッと堪えて答えてやるとマリーと周りの女たちはけらけらと声をたてて笑い始めた。


「ねえ、あなたもしかしていい気になってない?トムは、あなたのことなんて好きじゃないわよ」

「ええ、そうですよ」


マリーたちの笑い声が、ぴたりと止まった。特に顔色も変えずそう言い放った私に、彼女たちは長いまつげをぱちくりさせる。


「…そう、わかっているならトムから離れてくれない?私が彼と付き合うから」


今度笑い出したのは私だった。
狂ったように大声で笑う私に、マリーの美貌が歪む。


「アハハハッ、あなた、リドルが自分のことを好きだとでも思ってるんですか?面白い人ですね」

「…なにがおかしいの!?私はトムと三回寝たわ!」

「それがなんですか?」

「なにって…!」


言葉に詰まったマリーに、私は笑うのを止め無感動に喋り始める。


「私は彼と47回寝ました。あなたは…確か、私が知る限り18人目の相手です。あなたの前の女は5回だった」

「そっ…そんなの嘘でしょう!?なんてことを言うの、トムを侮辱しないで!」

「セックスの回数で彼の愛が測れるとでも?あなたはリドルのことをなにも知らないんですね。あなた、リドルが「トム」と呼ばれることを毛嫌いしていることを知らないでしょう?香水の匂いが嫌いなことも、そして」


彼が、愛を知らないことも。


「用事はそれだけですか?じゃあ帰りますね、さようなら」


私が扉に手をかけると、マリーが半ば叫ぶような声で私を呼び止める。


「いい気にならないで!私は、由緒正しい純血の子供よ!たかが半純血のあなたやトムだなんていつでも潰せ…」


私は杖を振り上げた。









「やあなまえ、遅かっ…」


こちらを振り向き、そのままの体勢で固まったリドルに、私はにっこりと微笑みかけた。

「ねぇねぇリドルぅ、リドルのおもちゃ一個壊しちゃった。ごめんね」

「…いいよ、許してあげる」


リドルは血塗れの私を優しく抱き寄せると、後始末は僕の方でやると囁く。






「なまえ、いい子だ。さすがは僕のお気に入りだね」










(愛のないセックスで性器を濡らす)

(お前は、愚かだ)

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