短編
□高潔なる騎士隊長
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現在地は、コンフェイト大森林―――。
黒基調な服装の青年と、ガルバンゾ国王女が入り口前で誰かを待っている。その正体は、駆け足でやってきた。
ソロ「二人とも!おまたせ!」
ユーリ「よ。待ってたぜ。」
エステル「わざわざすみません。」
ソロ「ううん。気にしないで。」
今作主人公、ソロ。
ユーリ「指定された場所は、ここだな。」
ソロ「ここに居るの?その、フレンって人。」
ユーリ「ああ。」
今回の依頼は、ガルバンゾ国の騎士団に所属する隊長。フレン・シーフォとの邂逅である。
フレンと言う人物は、ユーリとは幼馴染であり親友と言う立場である。以前騎士団にいたユーリと同時期に入団。
ユーリはその後退団したが、フレンはそのまま騎士団に残り、今では弱冠21歳で、騎士団隊長と言う優秀な人材である。
ユーリ「しっかし、悪いな。面倒な仕事頼んじまって。」
ソロ「大丈夫。別に暇だったし。」
ユーリ「オレだけならまだよかったんだが、このお姫様が付いて行くって聞かなくてな。」
ユーリがそう言うと、エステルが俯いて呟いた。
エステル「行く前にも話しましたが、今回の件に関しては、わたしに一番の責任があります。ユーリは、わたしのわがままに付き合ってくれているだけなんです。」
ユーリ「ホント、随分殊勝な態度だな。エステルのわがままに振り回されんのは、いつもの事っちゃ、いつもの事なんだが。」
エステル「もう、ユーリ。茶化さないで下さい。///」
核心を突くユーリに、拗ねるように顔を膨らませるガルバンゾ国王女。
エステル「……とにかく、きちんと説明すれば、フレンならきっとわかってくれます。わたしはフレンを信じています。」
ユーリ「へいへい。そう上手く行きゃいいけどな……。んじゃ、ぼちぼち進みますか。」
エステル「ソロ、よろしくお願いします。」
ソロ「うん。」
ユーリ「エステル。先に言っとくが、勝手に一人で……。」
エステル「では、行きましょう二人とも。」
ソロ「よし、行こう!」
ユーリの注意を無視し、二人は先に森に入っていった。(笑)
ユーリ「……って、注意してる傍からこれかよ…。同行者、選び間違えちまったな…。(汗)」
目の前の目的を優先して、前にどんどん進む。彼らはある意味似てる、とユーリは思った。
ユーリ「どうにも困った、お姫様と救世主様だな。全く。」
しばらく魔物を対峙しながら進むと、エステルが足を止めて呟き始めた。
エステル「フレンは……怒ってるでしょうか…。」
ソロ「エステル?」
ユーリ「怒るっていうより、心配は当然してるだろ。ま、あいつの事だ。お仕置きの三つや四つは覚悟しといた方がいいだろうな。」
ソロ「え…一つや二つじゃなくて…?」
ユーリ「あいつは一つや二つで済むような奴じゃねぇよ。」
ソロ「う、受けるの…?」
受ける、と言う質問が何を意味してるのかはもちろん…。
ユーリ「ん?お仕置きか…?」
である。
ユーリ「ははっ。もちろんまともに受けるつもりはさらさらないぜ。」
ソロ「あ、そう…。(汗)」
ユーリ「ただ、色々あってな。これから会いに行く奴は、ちっとばかし面倒な事情を抱えてんだよ。」
エステル「……でも、わたしはここで立ち止まるわけにはいきません。城の中にいただけではわからなかったこと…、本を読むだけでは学べなかったこと。
このギルドに来て、たくさん知ることが出来ました。ですから……。」
ユーリ「だったら、それをフレンの奴に直接聞かせてやればいいんじゃないのか?あいつも、え据えるが何を考えてこんな事をしてるかくらい、わかってるはずだ。信じてるんだろ、フレンの事?」
エステル「…!……はい!」
俯いていた顔を上げ、顔を少し明るくするエステル。
ユーリ「いい返事だ。おし、話がまとまったとこで、先を急ぐぞ。あんまり待たせると、あいつにグダグダ小言を喰らっちまう。」
ソロ「大丈夫だよ。もしそうなったら…。」
ユーリ「…?」
ソロ「はっ!」
ソロが右手の剣を構え、遠くで身構えていたウルフを魔神剣で仕留めた。
ソロ「『腹ァ括れよ。』でしょ?」
ユーリ「…っはは…。いつの間にそんな言葉覚えたよ。」
ソロ「ユーリが、いつも言ってるから。」
ユーリ「そうかい。」
エステル「(ソロとユーリって…似てない様で、似てるようで……なんだかよくわからないです…。)」
ソロも若干の戦闘狂故、ユーリにも似てるようで似ていない。