短編
□高潔なる騎士隊長
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ヘーゼル村管理地までたどり着くと、ある人影が見える。
ソロ「…?今の人影…。」
エステル「もしかして…!」
こちらに気付いたのか、人影は近づいてきた。
その人物は、青と白を強調とされた鎧を身に纏った、金髪蒼眼の整った顔立ちの青年だった。
エステル「フレン!」
フレン「エステリーゼ様!……お怪我はありませんか?」
そう。彼こそがガルバンゾ国で騎士団隊長を務めるフレン・シーフォである。
エステル「はい。ユーリとギルドの皆さんが、とても良くして下さるので。」
フレン「そうですか。……良かった。」
するとフレンは、ユーリに近づき、ソロとエステルが驚く他ない一言を言い放った。
フレン「ユーリ。手紙にも書いた通りだ。エステリーゼ様は返してもらう。」
ソロ、エステル「Σ!?」
ユーリ「んで、王女誘拐の嫌疑でオレもついでに国へ連行……ってか?」
フレン「こちらも独自に調査を行い、事情は大方把握している。無論、君にかけられている嫌疑が、真実でないことも調査済だ。
だが、だからと言って無断で彼女を国外へ連れ出した行為を正当化するわけには……。―エステル「フレン。わたしはまだ帰りません。」―Σ…ぇ!?」
フレンの説得に、エステルが乱入し反対した。
エステル「わたし達の知らない所で、大きな事が起きているんです。植物や、魔物……それだけじゃない、たくさんの苦しんでいる人達をわたしはこれまで見てきました。
彼らをこのままにはしておけません。フレン、わかって下さい。」
フレン「ですが……。」
ユーリ「いいのか?無理矢理連れて行ったところで、どうせまた飛び出しちまうぜ。その方がよっぽど危ねえんじゃねえか?」
ソロ「それに、折角エステルと仲良くなった皆も、急にいなくなったりしたら悲しむんじゃないかな…?」
フレン「………。」
ユーリとソロの言葉に後押しされ、少々悩んだ結果彼は答えを見出した。
フレン「わかりました。ただ、条件があります。
――――……ユーリ。僕もギルドのメンバーに正式に加えてはもらえないか。」
ソロ「Σ!?」
ユーリ「おいおい。正気か?」
ソロとユーリが驚愕の表情を浮かべ、エステルはどこか嬉しそうな表情を浮かべる。
フレン「ああ。確かに、星晶採掘に関する各国の不穏な動向、不可思議な現象は僕も気になっていた。それに……。」
ソロ「それに……?」
フレン「国からは、エステリーゼ様の安全確保が最優先任務として言い渡されている。騎士団の事は、副官達に任せて、僕は君たちと一緒に任務を遂行していこうと思う。」
ユーリ「任務ねえ……。」
フレン「もう一つ。任務である以上、事の真偽が明白になり事態が落ち着いてきたら、エステリーゼ様には、国に戻っていただく。」
ユーリ「やれやれ。とんだ屁理屈を考えたもんだ。どうするんだ、エステル?」
エステル「わたしはそれで構いません。じゃあ、これからはまたフレンと一緒に居られるんですね。」
フレン「そういう事になりますね。これからよろしくお願いします。エステリーゼ様。」