短編
□ルーク様ご一行
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今回ルークからの依頼により、ある人物を迎えに行くという事になったソロ。
しかし、ルーク曰く、「見つかると面倒な事になる。」という事で、お忍びで行くことになった。ソロは今回その護衛という事になる。
ソロ「…で……要点はわかってたよ…。でも…。」
因みに現在地は、日差しが照りつけるカダイフ砂漠。
ソロ「場所がこことは聞いてな〜〜〜い!!!」
頭を押さえて、砂漠の真ん前で叫ぶソロ。
ルーク「だぁ〜〜〜っ!何だよ、この暑さ!暑くて焼け死ぬっつーの!!つか、お前うるせぇよ!!」
ソロ「ルークも十分うるさいよ…。」
ルークの愚痴を言いながらの叫びに、ソロは静かにそう言い返す。
ルーク「クソッ!さっさと合流しねぇと……。おい、ソロ。モタモタすんなよ!」
ソロ「…はいはい……。」
今回の迎え場所は、カダイフ砂漠の南西エリアのさらに北の方にある「後生の門」と言う場所である。
幸い今は、サンドワーム達の群れどころか、魔物たちの姿もあまり見当たらない。
しかし、この暑い日差しは、ほとんど準備できなかった二人には相当きつい…はずだが……。
ソロ「(なんだろう…。もう何回も来てるから逆に慣れてきちゃったよ…。)」
ソロの環境適応能力がどんどんと進歩してきているため、寒さだけでなく暑さにも対応できていた。
ソロ「ルーク、大丈夫?」
ルーク「あ〜……。あちーな、くそっ……。う〜〜ぜ〜〜〜〜!!」
ソロ「(大丈夫じゃ無さそうだ……。)(汗)」
ソロの質問はルークに聞こえなかったようだが、答えはもう十分にわかりきっていた。
ルーク「おい、お前。水!」
ソロ「…え……?」
いきなり、右手をソロに向けてそう言ってくるルークの言葉に、ソロの頭に疑問符が浮かぶ。
ルーク「何、ボケーッとしてんだ。水だよ、水。」
ソロ「……ルークは、持ってきてないの…?」
ルーク「は?…まさかお前。持ってきてねえとか言うんじゃねえだろうな?」
前述の通りならば、ソロは行き先がカダイフ砂漠だと聞いていない…つまり、そのための準備も出来ず…答えはもちろん…。
ソロ「……ないけど……。」
ルーク「かーーっ!マジかよ!?ありえねーっつーの!!」
ソロの返答に、朱色の長い髪をかき乱しながら青年は憤慨した。
ルーク「砂漠だぞ砂漠!水分補給は必須だろ?お前、俺に干からびて死ねっつーのか!?」
ソロ「だって、僕行き先が砂漠だなんて聞いてないし…。」
ルーク「何だよ、口答えすんのか!?俺を誰だと思ってんだ、あぁ!?」
ソロ「ライマ国第一王位継承者及び、現在はギルドアドリビトム所属のルーク・フォン・ファブレ、だよね?」
ほぼ無表情でつらつらとルークの肩書及び、フルネームを言い並べる。
ルーク「お…おう…。わかってんじゃねぇかよ……。」
こうも簡単に返答されると、少々戸惑うものである。
ソロ「ジェイドに、『ルークがこんなセリフを言ったら、こう返してください』って言ってたから…。」
ルーク「ジェイド…あいつ…!!」
まあ、もちろん、生まれたばかりの赤子のような存在が、誰からも教えらえずこんなこと言えるはずがないのだが。(笑)
ルーク「……ちっ。しょうがねえ。あいつと合流すれば何とかなるだろ。そう言う部分はいつも抜かりねえからな。」
そしてすぐさま歩き出した。
ルーク「おい、もたもたすんなよ?遅れたら、お前の分の水はねーからな!」
ソロ「あ、うん。」
先に進むルークを、ソロは追いかけた。