Novel
□第一話
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「竜破斬(ドラグスレイィィィィーーーーッブ!)」
ドゴーーーーーーーーンッ!!
町に足を踏み入れた途端、もんのすごい爆音と共に突風に巻き込まれ身体が浮き上がる。
「えぇーーー?!!」
素っ頓狂な声を上げてみるが後の祭り、自由の利かない身体は風に乗って飛ばされていく。
「あっ、あぶなーーい!」
「へ?」
ズコンッ☆
私の声に気づいた栗色の髪をした少女は上を見上げるも遅かった……。
小気味良い音を立てながら見事少女の上にダイブしてしまったのだ。
「いったたたたた……」
「いったぁーぃ! ちょっとあんた! このあたしの上に降って来るとはいい度胸じゃない!」
「ご、ごめんなさい。町に着いたらいきなりすごい爆風に巻き込まれて……」
少女のあまりの剣幕にたじろきそうになるものの、一応の謝罪と不可抗力である事を説明した。
すると先ほどの少女の隣にいた全身白ずくめ、巫女の姿をした少女がつぶやく。
「それって……リナさんの竜破斬(ドラグ・スレイブ)の余波じゃ……」
ギクッ!
こちらにも聞こえてきそうな程のギクリという態度からリナと呼ばれた彼女の仕所業であることは明白だった。
「こんな街中で竜破斬(ドラグ・スレイブ)なんてぶっ放したんですか?!」
「だ、だってーしょうがなかったのよ……あんなヘンテコなゴーレムが暴走しだすから! それとも何? 知らんふりでもしてればよかった? どの道町は壊滅してたわよ!」
「そ、それは大変でしたね! (いやーそれにしても限度ってもんが……)」
私の言葉に始めはしおらしくしていた彼女だったが、だんだんとヒートUPしていき、ついには私の胸倉をつかむまでにいたった。
これ以上言っては……とてつもない身の危険を感じたので心の声はそっとしまっておいた。
「まぁ、どこぞの呪文に巻き込まれるなんてよくある事よ。怪我がなくてよかったわね」
「リナが所構わず呪文を放つのは日常茶飯事だからな」
「何か言ったかなぁ?ゼルぅ」
私から手を離すと今度はこちらも白ずくめのゼルと呼ばれた方へと手を伸ばそうとする。
いや〜忙しい人だなぁリナさんって。
ん?
リナさんから感じるこの気……。
もしかしてこの人……。
「あの〜リナさん?」
「ん?」
ゼルさんに詰め寄っていたリナさんが私に呼ばれこちらに顔を向ける。
リナさんと視線が合うと私は迷わず自分の疑問を投げかけた。
「あのですね、つかぬ事をお伺いしますが」
「私は誰ですか?」
「「「はぁ?」」」