夢幻狂花の桜.壱

□桜之参.
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さて、今日は絶好の甘味日和だ。
何を食べようかな?
やっぱりみたらしがいいかな…僕あんこ苦手だし。

と、そんなことを思って甘味屋に向かうと、画面の中で見慣れた顔。


『薫く〜ん!』

南雲「……??(ち、千鶴??)」


あはは、初対面の僕がいきなり名前で呼び掛けたもんだから、吃驚しちゃってる。
可愛いなぁ〜
さすが千鶴ちゃんのお兄ちゃんだね。

うん?それとも僕と千鶴ちゃんを間違えてるのかな?


南雲「失礼ですが、どちら様ですか?(千鶴はこんなに大きくない…。)」


あ、そうか。今は薫ちゃんなんだよね。
ってか、やっぱり僕のことは知らないか。


『ごめんねいきなり話しかけちゃって。僕の名前は千月。
実をいうと、君たちのお兄ちゃんだったりするんだよねぇ〜。ほら、そっくりでしょ?
あ、そうだ。いきなりついでに僕と甘味食べにいこ?
おごってあげるから。』

南雲「は……?え?あの…(え??ち、ちょっとまて。今ものすごいことを口走らなかったか?俺たちの兄だとか何とか…。しかもなんでこいつは俺の許可も得ずに無理やり甘味屋に行こうとしているんだ?外見からは想像もつかないくらい怪力だし……。千鶴と同じ顔してる所為で強く振り払えないし……。まあ、それは女の格好している所為もあるんだが…。とりあえず、なんで甘味屋に行くことに拒否権はないんだ?)」


薫君がそんな思考の無限ループにはまっていることなどつゆ知らず、薫君を連れて甘味屋に行こうとした、その時。

薫君が、浪士にぶつかってしまった。


「おい、そこの女!ぶつかっておいて何も言わねえとは、どういう量見だ!酌の一つでもしやがれ」


なんでぶつかったら酌するのかはさておいて…(←おい)


南雲「おやめください!」

『チッ……雑魚が…僕と薫君の時間を邪魔するなんて、万死に値するよ…』

南雲「(千月………黒いぞ…。千鶴の顔してそれはない…。(汗))」

『ねえ、そこの雑魚…っていうか雑魚っていうのも雑魚に悪いカス以下の君。僕の薫君に何すんのさ。
別にぶつかったぐらいいだろう。
つか何も言わねえって…貴様が何か言う暇もないぐらい早く文句言ってきたんだろう。
それで怒るのはお門違いだよ。
僕は薫君との時間を邪魔されて、非常に機嫌が悪いんだ。さっさと失せてくんないと、貴様の存在がこの世から塵一つ残さず消え失せるけど、それでもいい?』


と、いいつつギリギリと音がするくらい強く、薫君の腕をつかんでいる浪士の腕を握る。

……一刀両断しないなんて、僕ってなんて優しいんだろう。


「なんだと貴様!馬鹿にする気か!」

『いやだなぁ…何勘違いしてんのさ。馬鹿になんかしてないよ。馬鹿っていう言葉も、君なんかに使うのはもったいないよ。』

「っ…!なめやがって…」


あらら、刀抜いちゃったよ。
いいの?僕、斬っちゃうよ。

こんなやつ、刀使わなくても簡単に殺せるけどね。


??「おい、そこで何してる!」


あれ?画面の中で聞いたことある声…
確か、遊佐さんの声だったよね。でもこの世界では彼自身の声なんだからなんだか不思議な感じだ。

僕って結構重度の二次オタだったからそんなことまで瞬時に思い出される。
全く、前の僕は何をやっていたんだか…。(呆笑)
動けないのに…いや、動けないから病室が(個室だったんだよ)漫画やらグッズやらゲームやらで埋れていたっけ。
お母さんも耳ざといよなぁ。
僕がちょっと雑誌見ながら欲しいとか、やって見たいとか、読んで見たいとかつぶやいた声を一つも聞き漏らさずに全部買ってきてくれちゃうんだから。

それに個室って…。あの時は小さい頃からそこにいたから違和感とか無くて別段なんとも思わなかったけれど、冷静に今になって考えてみるとやっぱり異常だよ。

うん。実は僕にそんだけ使ってもなお贅沢な暮らしができるくらいの大金持ちだったとか?
それならそうと早く言ってくれれば良かったのに。
そしたら、「何でお父さんは来ないんだろう」とか、「僕のこと見たくもないくらい嫌いなのかな?」とか思わずに済んだのに。
まあ、それも今となっては過ぎた話か。
いや、まだ起こっていない話……か?

とまあそこまで考えて、原田君の怒鳴り声で思考は中断させられる。


原田「喧嘩はやめろ!」

『やあ、原田君。初めまして。((ニコニコ』

原田「え…千鶴??」

『僕は千月。妹がお世話になってます。』

原田「千鶴じゃない…?……つか、妹だと!?」

『うん、そう。千鶴ちゃんは僕の妹だよ。』

原田「なるほど、そっくりだしな。納得した。」

「おい、貴様ら!俺の存在を無視してんじゃねえ!」


あ。いけない。原田君と会えたのがうれしくて忘れていたよ。


『……うるさいなぁ…静かにしててくんない?
それとも何?無理やり静かにしないといけないの?
声帯潰そうか?』

原田「…(こいつ、空気がガラリと変わりすぎじゃねえか?)」

南雲「(千月…黒いよ…)」

「貴様っ!誰に向かって口きいてると思っt

バキッ

………うわぁぁぁぁあああ!」


話の途中でつかんでいた腕を握り折った。

だってなんか存在がうざいんだもの。

折ったらどこかに逃げていったよ。
…所詮カス以下の存在だ。追うのもめんどくさい。


原田「お前…(どんな力だよ…)」

『なあに?原田君。』

原田「いや、なんでもねぇ…(てかなんで名前知ってんだ?)」

『何でもないんだったらもう行ってもいいかな?僕たちこれから甘味屋に行くんだ。』

南雲「…それもう決定事項なんですか……」


薫君に用事があるなら引き止めないけど、僕としては薫君と親交深めたいんだよね。
弟だし。

ブラコン?それ、褒め言葉だよ。


『ん?なんか用事でもあった?』

南雲「いえ…ありませんけど……あの、失礼ですけど私たち、初対面のはずですよね?(…ものすごくなれなれしいが。)
助けてもらったことには感謝しますが、さすがに甘味屋にいっしょに行くのはどうかと……。」

『…僕はそんなの気にしないけど。あーでも用事ができちゃったから甘味屋に行くのはまた今度にするよ。』


だってあそこに見えるのは僕の可愛い可愛い可愛い可愛い弟の千景。
日本では珍しい金髪だからすぐわかる。

…どうやって脅かそうかなぁ?
千景まだ僕が京<ここ>にいること知らないもんね。

とりあえず、見失ったら話にならない。
追いかけよう!
ついでに面白いことになりそうだから原田君もつれて。
巡察?そんなの知らないよ。←
てかお仕事中ならなおさらいいじゃないか。

さて、追いかけようか。
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